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F1 ニュース

投稿日: 2018.12.28 18:00
更新日: 2018.12.28 18:12

【F1座談会企画(1)2019年タイトル争い編】ベッテルの課題はフェラーリの内部問題か。ハミルトンの対抗馬を探せ

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F1 | 【F1座談会企画(1)2019年タイトル争い編】ベッテルの課題はフェラーリの内部問題か。ハミルトンの対抗馬を探せ

 2018年シーズンのF1が幕を閉じました。2018年はフェラーリがメルセデスに一矢報いるのではないか、そんな期待の中でシーズンがスタートし、フェラーリのセバスチャン・ベッテルが開幕2連勝。しかし、シーズンの中盤以降は徐々に形成が傾き、ご存知のように最終的にはメルセデスのルイス・ハミルトンが5度目のチャンピオンに輝き、メルセデスが5年連続でコンストラクターズタイトルを獲得する結果となりました。

 結果だけを見るとこれまでの4シーズン、まったく変わらないように見えるF1の勢力図。でも実際はどうだったのか。歴戦のジャーナリストたちはどう捉えたのか、その裏側をこの座談会で暴露してしまいます。座談会に参加して頂くメンバーは、オートスポーツwebでもお馴染みのF1ジャーナリスト、1987年よりF1の取材を行う柴田久仁夫氏と、16年以上にわたって毎年全レースを現場で取材している尾張正博氏のおふたり。

 2018年シーズンを振り返りつつ、2019年のF1をズバリ推測します。初回となる今回は、『2019年もハミルトンが勝つのか? 対抗馬は誰なのか』というテーマでお届けします。

■F1史上に残る名ドライバー、5度の王者ハミルトンの実力と人気は妥当?

──(MC:オートスポーツweb)2018年シーズンのF1ですが、ルイス・ハミルトンがミハエル・シューマッハーの7回に次ぐ、通算5度目のタイトルを獲得しましたが、これだけ圧倒的な強さを見せているのに、日本ではあまりハミルトンのタイトル獲得で盛り上がる雰囲気はなかったような気がします。

尾張正博氏(以下、尾張)「勝っている人のニュースがあっても盛り上がらないというのは、スポーツの報道として一番良くない状況だよね」

──オートスポーツwebではもちろん、トロロッソ・ホンダのニュースはアクセスがいいのですが、やはりハミルトンよりもキミ・ライコネンやフェルナンド・アロンソの記事の方が読まれていましたね。

柴田久仁夫氏(以下、柴田)「実力と人気が比例しないというのは、わりと世界的な傾向なんじゃないのかな。そういう意味で、今までで一番、ハミルトンの人気が出たのはデビュー年(2007年)?」

尾張「そのデビューイヤーでも、ハミルトンだけの人気で引っ張ってきたっていうわけではないですよね。2007年はマクラーレン内で(フェルナンド)アロンソとの確執があったから注目を浴びた。だから、ハミルトンはもしかしたらイギリス国内ですら、あまり人気はないのかもしれない。むしろその時点ではチャンピオンになっていない(ジェンソン)バトンの時の方が盛り上がっていたのかもしれないですからね」

柴田「(ニコ)ロズベルグとタイトルを争っていた時(2014年〜)のことも、決して『ハミルトン/ロズベルグ』時代とは言わなかったもんね」

尾張「それはベッテルにも言える。ベッテルが勝っていた時(2010年〜)も、ドイツ国内では(ミハエル)シューマッハーがいた時のような現象は起こらなかった。それが問題だと思う」

柴田「ベッテルが4連覇した時も、『ベッテル時代』とは言わなかったし、ドイツでF1が盛り上がっていたわけでもなかった」

尾張「(2015年と2017年には)ドイツGPがなくなったし……」

──ドライバーの実力と人気が比例しない時代がしばらく続いているということですね。その原因はどんなところにあるのでしょうね?

柴田「今のチャンピオンには物語性がないというか……シューマッハーも、そういうのは少ししかなかった」

尾張「それでもカリスマ性はあって、今でもサーキットでシューマッハーの帽子をかぶっている人はたくさんいる。だけど、どのスポーツでもカリスマ性のある人が減っていると思う」

柴田「F1で最後に『◯◯対◯◯』と言えたのは、『シューマッハー対アロンソ』(2005年〜)でしょうね。ハミルトンはドライバーとしてはすごい実力の持ち主だし、F1史上に残るような速いドライバーなのに、どうして感情移入できないんだろう?」

2006年 フェラーリのミハエル・シューマッハーと激しいバトルを繰り広げたフェルナンド・アロンソ
2006年 フェラーリのミハエル・シューマッハーと激しいバトルを繰り広げたフェルナンド・アロンソ

尾張「今はSNSがあるから、なんでも明るみに出てしまう。彼の大きな欠点は、2年前の日本GPで、木曜日の記者会見中にスマートフォンのアプリを使って写真を撮っていたことを批判された後に、記者会見をボイコットしたこと。あれで母国のイギリス人ジャーナリストもファンも引いてしまったんじゃないかな。たとえばアロンソは、もちろん生意気なところはあるけれど、どこかでビシッと言い返してメディアから逃げない。(キミ)ライコネンもシューマッハーもそうだった。だけどロズベルグとかベッテルとかって、失敗すると言い訳したりする。ハミルトンも甥の服装についてSNSに投稿して、それを批判された(※1)。そういうのが報じられると、ドライバーとしての価値というか存在感が下がってしまうんだよね。それはこのスポーツだけの話だけではないけれど」

※1. 昨年ハミルトンはSNSに投稿した動画の中で、ドレスを着ていた甥に対して「男の子はドレスなんか着るものじゃない」と発言し、批判を浴びた。その後動画は削除され、ハミルトンは謝罪を行った。

■最大のライバル、ベッテルは手薄なサポートの中で孤軍奮闘状態


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