今季のトロロッソ・ホンダのアレックス・アルボンとダニール・クビアトのコンビは、いろいろな意味で好対照である。クールなイメージのクビアトと、感情がすぐに表に出てしまうアルボン。まったくの新人と、一度はトップチームまで上り詰め、どん底から再び這い上がってきたというキャリアの違いも大きいだろう。
それにしてもアルボンは、なんとも初々しいルーキーである。最近の新人はたとえば去年のシャルル・ルクレール、今年のジョージ・ラッセルなどなど、もう何年も前からF1ドライバーをやってるような顔をしている。それに比べてアルボンはF1の新しい環境に面食らい、それをまた素直に口にするところにも微笑ましさを感じる。
そんなアルボンは開幕戦の初日セッションで、都合3度ものコースオフをやらかしてしまった。しかし前日までの対応とは様変わりして、この日のアルボンはレーサーらしい闘争心も垣間見せていた。
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──トラブル満載のGPデビューだったのでは?
アルボン:いや、それほどじゃないよ。コース自体は凄いと思った。ものすごくバンピーだし、くるくる変わる風向きにも翻弄されたし。でも楽しんだよ。たしかにスピンは何度かやらかしたけど、経験の浅さとコースに馴れてないことが原因だからね。全然深刻なことじゃない。FP1はともかく、FP2はずっと安定して走れた。実際の順位よりは手応えは感じてる。セットアップでの伸び代は、まだまだあると思ってる。
──マシン挙動は、かなりトリッキーでした?
アルボン:風のせいだと思う。バルセロナでは経験しないような追い風で、安定したブレーキングに苦労させられた。向かい風になると、バランスが一気に変わってしまってたし。風に対して、マシンが敏感過ぎるところがあるかもしれない。
さらにFP2では、ヘッドレストに指を挟まれるという珍しいトラブルにも見舞われた。
──「ヘッドレストに指が挟まれた」と、無線で叫んでましたね。
アルボン:そうなんだよ。すごく珍しいことだと思うし、もちろん僕もこんなこと初めてだった。左にステアリングを切ったら、ヘッドレストとの間に挟まってしまって、一瞬ステアリングが戻らなかったんだ。それでコースオフしてしまった。全然大したことじゃないけど、ちょっと驚いた。
──FP1でクラッシュしたあと、ヘルムート・マルコ博士(レッドブル・モータースポーツアドバイザー)から何か言われてましたね。
アルボン:気にするな、FP2の走りに集中しろとか、そういうこと。
──ここまでのセットアップ作業には、満足できている?
アルボン:明日の予選に向けてやるべきことは少なくないけど、今のところは悪くない。一発タイムもロングランも、けっこういいんじゃないかな。
──昨日は高速コーナーのターン11と12に気をつけたいと言ってました。どうでした?
アルボン:まだ限界まで攻めてないから余裕はある。でも、高速コーナーはたとえ限界まで行っても、タイム的な伸び代はそんなに大きくないからね。むしろ低速コーナー重視だね。
──明日の予選に向けては?
アルボン:中団勢は予想どおりかなり接戦だし、Q1はいかに渋滞を避けて最適なタイミングでアタックに出るかも重要になりそうだね。でも一発の速さは、テストでもよかったしね。
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一方のクビアトはバルセロナテストに続いて、開幕戦初日もしごく順調だった。それもあって、受け答えも余裕が感じられる。