2019年の開幕戦オーストラリアGPは、決勝レースでファステストラップを記録したドライバーにチャンピオンシップポイントが付与された最初のレースとなった。この新ルールの導入は、シーズン開幕の直前になって決まったものだ。
同様の制度は1950年から1959年までの間にも存在しており、マイク・ホーソーン(フェラーリ)が1958年のドライバーズタイトルを獲得する一因になった。だが当時のルールでは優勝者でもわずか8ポイントしか与えられなかったため、この1ポイントを獲得することの影響は大きなものだった。
現代においては、ファステストラップポイントを得ることで何か違いが生まれるのだろうか? 優勝すると25ポイント付与される現在のF1において、1ポイントはさほど大きな意味を持たない。過去18年間で、もしこの制度があれば結果が違っていたかもしれない唯一のシーズンは2008年だ。ルイス・ハミルトン(当時マクラーレン)ではなくフェリペ・マッサ(当時フェラーリ)がタイトルを獲れた可能性がある。
今年導入された制度に関しては、ファステストラップポイントを獲得できるのはトップ10に入賞した場合に限られている。ただ仮にその規定がなかったとしても、メルセデス、レッドブル、フェラーリ以外のドライバーがボーナスポイントを獲得できるチャンスは、実際には低いだろう。2016年にターボハイブリッドエンジンが導入されて以降、全レースの約90パーセントにおいて、ファステストラップはこのトップ3チームに独占されている。
「ポイント獲得の対象をトップ10に限定したのは良いことだと思う」とルノーのダニエル・リカルドは語った。
「ファステストラップを狙うためにピットインして新しいタイヤに履き替えているうちに、別の何かを失ってしまう可能性があるわけだからね。新制度がどう機能するのか、見ていくつもりだ。(この制度が)選手権の行方を左右するようなことはあり得ないとは言わないけれど、まずないと思うよ」