バルセロナでのウィンターテストから開幕戦までわずか2週間だったにもかかわらず、少なからぬチームがオーストラリアGPにアップデート仕様を持ち込んできた。一方、F1技術の愛好家にとって開幕戦は、2019年マシンをじっくり眺める初の機会でもあった。
(1)孤高のメルセデス
横方向からの衝撃からドライバーを守る「サイドインパクトストラクチャー」(側面衝撃吸収構造)は、モノコックに直角に取り付けられたカーボン製の2本のバーからなる。そのうち1本はモノコック下部への装着が義務づけられているのに対し、もう1本の位置は各チームの自由である。
メルボルンに集結した全10チームの新車の中で、メルセデスW10だけが上部のバーをサイドポンツーンの上端に付けていた。それに対し他の9チームは、2017年のフェラーリが先鞭を付けた方式を踏襲し、できるだけ低い位置に置いている(左の写真レーシングポイントの黄色矢印参照)。それが右の写真のW10では、カーボン製のバーがサイドポンツーン上縁にあるだけでなく、先端がはみ出しているのがよくわかる。メルセデスはこの突起を、サイドポンツーン外側のデフレクターの支柱に利用している。
下のレッドブルRB15の写真は、全マシンが下部のバーを同じ位置に取り付けていることを示している。
(2)あえて高い位置に搭載されたラジエター
レッドブル、トロロッソ、ルノー、マクラーレン、アルファロメオの5チームは、エアインテーク上方に添わせる形でラジエターを搭載した。重心が高くなるデメリットにあえて目をつぶったのは、サイドポンツーンをできるだけ絞り込み、マシン後部への空気の流れを最適化することが目的だ。