記念すべきF1の1000レース目となった第3戦中国GP。このレースを制したのは、中国GPで圧倒的な強さを誇るメルセデスのルイス・ハミルトンだった。彼が不利な状況からリカバー能力を発揮した今回のレースを、F1ジャーナリストの今宮純氏が振り返る。
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節目(マイルストーン)に強いハミルトン、900戦目・2014年バーレーンGPにつづき1000戦目の中国GPも勝ちとった。現在75勝、今シーズン中にも<ミハエル・シューマッハー91勝>に急接近か――そう思わせる強さ。
上海入りしてから周囲の『ドライバーズ・チャンピオンシップ1000戦』祝賀ムードに、彼は冷ややかだった。「僕はいつものレースと同じようにやるだけさ」とコメント。御愛想など言わない。
どうしたハミルトン(?)。金曜FP2、トップのバルテリ・ボッタスに0.707秒も遅れる4番手だ。上海で6度PPを獲っている彼のブレーキングに切れ味はなく、リズムも欠いていた。一方カーバランスに満足するボッタスが高速コーナー区間のセクター2で最速タイム。長いバックストレート入口の13コーナーもスムーズに加速。「直線ではフェラーリに劣る」と首脳陣も認めていたが、そのセクター3でベッテルに0.005秒差だ。
このボッタスの速さに王者は刺激された。以前、チームメイトのニコ・ロズベルグに先行されると激しくプッシュし、かえって空回りすることがあった。土曜FP3はそれに近かった。強風下にアグレッシブな“突っ込み”ブレーキング、6コーナーでコースオフ、最終コーナーでもワイドに。その結果は4番手、トップのボッタスから0.858秒遅れというさらなる大差だ。後塵を拝する王者、この苦戦を打開できるのか――。