ふたりのドライバーとチーム代表を交えたフェラーリのレース後会見が、マッティア・ビノット新代表が就任した今年から復活した。去年までのマウリツィオ・アリバベーネ代表時代は、本人が出席を嫌がっていつのまにか廃止されていたものだ。
われわれ報道陣にとっては当事者たちのレース直後の肉声が聴けるだけに、もちろんこの措置は大歓迎である。しかしメルセデスに惨敗したF1第3戦中国GPレース後の会見では厳しい質問も矢継ぎ早に飛び、時おり緊迫した雰囲気に。出席した3人には、さぞ居心地の悪いものだったことだろう。
──チームオーダーに関して、あなた自身は納得できていますか。
シャルル・ルクレール(以下、ルクレール):レース後のチームミーティングで、しっかり説明してもらった。あの時の僕は、かなり難しい状況に見舞われていた。
グリップしないタイヤに手こずっていたし、それはセブ(セバスチャン・ベッテル)も同じだったけれど、それでもまだ彼の方がうまくタイヤを持たせられていた。僕に接近して走り続けたことで、フロントタイヤにダメージが出始めていたとは言っていたけどね。それで、まあ……。
──ベッテルのタイヤもその時点でダメージがあったということですが、ならば11周目まで待たず、もっと早いタイミングで順位を入れ替えるべきだったのでは?
マッティア・ビノット代表(以下、ビノット代表):その判定は、なかなか難しいところでね。逃げるメルセデスに迫るために、一刻の猶予も許されない状況だった。あらゆる可能性を考えた末に、セバスチャンに追撃を託した。結果的にうまくいかなかったが、セブに託した決断自体は正しかったと思っている。
──第2スティントでルクレールがあそこまで待たされた、その理由はなんでしょう?
ビノット代表:タイヤの摩耗状態が正確に把握できるまで、できるだけ長くステイアウトさせるつもりだった。1ストップで、最後まで行かせたかったしね。それがシャルルが順位を回復できるベストの条件のはずだった。しかし結局は、もう一度ピットインさせざるを得なかったわけだが。