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F1 ニュース

投稿日: 2019.05.22 17:00
更新日: 2019.05.22 19:01

【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第5回】僚友同士のバトル中のチーム代表とのやりとり。アップデート奏功も喜べないスペインGP

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F1 | 【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第5回】僚友同士のバトル中のチーム代表とのやりとり。アップデート奏功も喜べないスペインGP

 今シーズンで4年目を迎えるハースF1チームと小松礼雄チーフエンジニア。ヨーロッパラウンド初戦となったスペインGPでは、ハースは今シーズン初のダブル入賞を果たしたが、その一方でまさかの同士討ちを演じてしまった。あの時チームは、どういう判断を下していたのだろうか。小松エンジニアが現場の事情をお届けします。

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 第5戦スペインGP(カタロニア・サーキット)では、過去3レースのようにタイヤに関してそれほど苦労することはないと思っていました。プレシーズンテストを見ていてもそうでしたが、バルセロナのような高負荷のサーキットで、この時期のように路面温度が40度以上にまで上がれば、タイヤの問題に悩まされることなくトップ3チームに次ぐパフォーマンスを発揮できると予想していました。

 逆に、ここでもし自分たちがそれなりのパフォーマンスを出せなければ、プレシーズンテストの後に方向性を間違ってしまったということになります。ですが予想通りのパフォーマンスを発揮できたのでほっとしました。

 カタロニア・サーキットは低速コーナーもありますが、中速以上のコーナーが多いコースです。ウチのクルマはこういったダウンフォースが重視されるサーキットに合っているので、ここ3レース(バーレーン/中国/アゼルバイジャン)は苦戦が続きましたが、ドライバーも自信を持って楽しく走れたのではないかと思います。

 というのもプレシーズンテストと開幕戦オーストラリアGPはきちんと走ることができましたし、そこまではクルマもタイヤもしっかりと機能していたんです。ドライバーが最初に『クルマがおかしい。今までドライブしてきたクルマとは感触が違う』と訴えたのがバーレーンGPのフリー走行1回目でしたが、バーレーンでは予選結果が良かったので、日曜まで問題に気付けなかったんです。その後、中国、アゼルバイジャンと悩まされ続けましたが、やっとその状態から開幕戦の時のような良い感覚まで戻すことができました。

 またスペインGPではアップデートを投入しました。実は、今回のアップデートはハース史上最大のアップデートだったんです。すべて空力系のものですが、フロントウイング、ノーズ、バージボード、フロア、それにリヤウイングも改良しました。変えていないのはサイドポットやエンジンカバーくらいですね。

2019年F1第5戦スペインGP ロマン・グロージャン(ハース)
2019年F1第5戦スペインGP ロマン・グロージャン(ハース)

 最初は、金曜日にロマン(グロージャン)のクルマにのみアップデートを搭載して、ケビン(マグヌッセン)の方は従来の仕様で走らせました。その理由は、プレシーズンテストで得たデータとの比較は従来のクルマが適していること。そして、クルマ間で性能を比較してアップデートの性能を確認できることです。

 このアップデートが功を奏して、2019年シーズン初のダブル入賞となりました(マグヌッセンが7位、グロージャンが10位)。昨年のスペインGPでもそうでしたが、トップ3チームには届かなくても、それ以外のチームのなかではダントツで速いのではないかという予想だったので、良い意味で予選結果やレース中のロマンのペースは想定通りでした。

 一方ケビンは、少しペースが上がらなくて、ピットストップ後も(ニコ)ヒュルケンベルグに引っかかってしまいました。トロロッソ・ホンダにも先行されましたが、トロロッソ・ホンダは2ストップ作戦、ケビンは1ストップ作戦という戦略の違いがあったので、これは特に心配していませんでした。

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