F1第6戦モナコGP初日フリー走行で、アレクサンダー・アルボンが総合5番手の速さを披露した。「いわゆる『乗れてる』状態だし、何よりF1のドライブ自体を楽しんでる感じでした」と、ホンダの本橋正充チーフエンジニアは評していた。
戦闘力は去年以上と言われながら、なかなか結果に繋がらない今季のトロロッソ・ホンダだが、モナコの週末はいつも以上の手応えを感じているようだった。
──初日とはいえ、順調だったのではないでしょうか?
本橋正充チーフエンジニア(以下、本橋CE):順調でした。特にアレックス(アルボンの愛称)が。
──開幕からここまでは、新人のアルボンがベテランの(ダニール)クビアトに初日から後れを取るパターンが多かったと思うんですが、今日は少し違うパターンでした。
本橋CE:楽しんで、運転している感じでしたね。そういうふうに見えました。
もちろん市街地コースなので、通常のサーキットとは違う気の使い方をしないといけない。その中でもアレックスは果敢に攻めて、F1のドライブ自体を楽しんでいる感じでした。
──クビアトも経験豊富だし、市街地コースも決して苦手なわけではない。けれども今日は、少し苦労していました。
本橋CE:クルマのバランスですね。パワーユニット側にしても、まだセッティングが完璧ではない。市街地コースなので、路面の改善幅が大きいです。それに合わせてチューニングを探す作業が、いつもより少し時間がかかっていますね。ドライバビリティの改善がメインになるんですが、まだ完全ではありません。
──ドライバビリティというと、主にコーナーの立ち上がりですか?
本橋CE:ブレーキングから立ち上がりまで、コーナー全部ですね。こういったコースでは、ドライバビリティをきっちり合わせることが、他のサーキット以上に重要です。それが僕らの、主な作業になります。
──アルボンはクビアトほど、ドライバビリティへの不満はなかったのでしょうか?
本橋CE:いえ、ありますよ。速く走りたいという気持ちが伝わるコメントを、いくつも言ってましたね。こうしてほしいというのは、絶えず言っています。
──今日のアルボンは、いわゆる「乗れてる」感じでしたか?
本橋CE:まったく、そうですね。ほんとに楽しんでいました。
──いっぽうで、クビアトはデプロイが切れたようなコメントを無線で話していました。
本橋CE:はい。データ上では少し分かりませんでしたが、パワーの出方が少し足りないと、デプロイ切れか、ということになりがちなんですね。でもチューニングの範疇だと思います。結局はドライバビリティなんですが、トルクの追従性を合わせていけば消えるはずです。