モナコGPはメルセデスAMGの圧勝になるはずだった。少なくとも予選、そして第1スティントまではメルセデスAMG勢が完全にモナコを支配していた。
しかし11周目にシャルル・ルクレール(フェラーリ)がまき散らしたデブリの処理のためにセーフティカー導入となり、上位勢がピットに飛び込んだところから状況は大きく動いた。
首位のルイス・ハミルトン(メルセデス)だけがミディアムタイヤを履き、後続はすべてハードタイヤ。ピットアウト時にマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)に寄せられて接触しパンクを喫したバルテリ・ボッタス(メルセデス)も翌周ミディアムからハードに履き替えた。
メルセデスAMGのシミュレーションによれば15〜16周目以降のタイヤ交換ならミディアムでも78周目まで保つという計算だったという。しかし実際にレースが再開されるとハミルトンはタイヤのグリップ不足に苦しみ、第1スティントとは全く異なる様相が展開されることとなった。
ハミルトン:質問だ。ジェームス(・ヴァレス/チーフストラテジスト)は本当にこのタイヤで問題ないと思ったのか? スーパースローなペースで走っているのにどれだけ保たせられるか分からないよ
メルセデス:正しくマネージメントできればレースは我々の狙い通りになるよ
後方にはフェルスタッペンがテール・トゥ・ノーズで続き、さらにフェラーリのセバスチャン・ベッテル、ボッタスも連なる。
ハミルトンは左フロントタイヤのグレイニングに苦しんでいた。
ハミルトン:左フロントタイヤがオープンアップし始めたよ
32周目に左フロントのグリップ低下を訴えたハミルトンは、その3周後には再度のタイヤ交換を打診してきた。
ハミルトン:ハードタイヤに交換するチャンスはないのか?
メルセデス:もしピットインするなら当然ハードに換えるが、今のところ大丈夫だ。フェルスタッペンも左フロントに君と同じようにグレイニングが出ているから大丈夫だよ
そこからさらに10周が経過しても状況は変わらない。ハミルトンはチームに対して不満を訴えながら走り、チームがそれをなだめすかすということの繰り返しだった。
ハミルトン:ボッタスは苦しんでいる? それとも(ペースコントロールで)ついてこないだけ?
メルセデス:後続はみんなオーバーテイクが難しいと判断してプッシュしていない
ハミルトン:これは間違ったタイヤ選択だよ
メルセデス:我々はこれが正しいと確信している。(ロマン)グロージャンはソフトでスタートから39周も走行してまだ同じペースで走り続けているから大丈夫だ