レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

F1 ニュース

投稿日: 2019.06.05 15:30
更新日: 2019.06.05 15:35

中野信治が語る“世界のいま”と“日本の実力”。『日本人ドライバーはなぜ欧州で苦しむか?』

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


F1 | 中野信治が語る“世界のいま”と“日本の実力”。『日本人ドライバーはなぜ欧州で苦しむか?』

 ここ数年、日本の有望な若手が次々にヨーロッパへ送り込まれている。国内で評価されていた彼らが速くないはずはない。にもかかわらず、欧州で突き抜けるところまではいってない。

 この永遠のテーマについて、元F1ドライバーの中野信治氏に聞いた。

 日本人として初めて世界3大レース(F1モナコGP、インディ500、ル・マン24時間)に出場した経験を持つ中野。最近では2017年から国内のスーパー耐久TCRクラスに参戦し、昨年、同クラスを制覇した。

 いまだドライバーとして活動を続けている一方、今年はスーパーGT/スーパーフォーミュラでチーム無限の監督を務め、新生・鈴鹿サーキットレーシングスクール(SRS)のバイス・プリンシパルにも就任し、佐藤琢磨校長とともに世界を目指す日本人ドライバーの育成に取り組んでいる。

 その中野が、F1スペインGPの現場を訪れた。週末のバルセロナではFIA F2とFIA F3も併催されるため、ヨーロッパで戦う若手日本人ドライバーの戦いぶりを見るには絶好のタイミングだった。

──F1はいつ以来ですか。
中野信治(以下、中野):「直近は昨年の日本GPですが、欧州のグランプリという意味でいうと、テストドライバーをやっていた99年が最後かな。20年ぶりですね(笑)」

──久々の現場はどうでしたか。
中野:「変わった部分と、懐かしく感じる部分の両方ありました。ル・マンに行っているのでヨーロッパ独特の空気感に接する機会はありますが、やっぱりグランプリにはグランプリ独特の匂いがある。そこが懐かしかったですね」

──F2をご覧になった感想は?
中野:「ヨーロッパには世界中からドライバーが集まってくるわけですから、レベルが低いわけはない。こういうカテゴリーですから、年によって若干レベルが上下することはありますけど、F1直下のカテゴリーとしては機能していると思います」

──中野さんは今年からチーム監督という立場でスーパーフォーミュラに携わっていますが、F2との違いをどう見ていますか。
中野:「SFとF2は使っている道具も違えば、戦い方も違う。ウチのチーム(無限15号車)のダン(ダニエル・ティクトゥム)からも日本とヨーロッパの違いを聞いたりして、それぞれの特徴を理解しているつもりです。そういう話を総合して思うのは、SFとF2では『学べる内容が違う』ということ。だからこそ、日本のSFだけでは足りないし、逆にF2だけでなくSFも経験したほうがドライバーにとってよりプラスになるのは間違いない」

──『学べる内容の違い』とは具体的にどのようなことでしょう?
中野:「SFはマシンがよくできていて、タイヤの性能も優秀。加えて日本のレーストラックは路面のμ(ミュー:摩擦係数)が高いですから、より高い次元のコーナリングスピードを経験できる。スピード感覚を養って、細かくセットアップを煮詰めていく方法論を学ぶ場として日本のSFは最適です」

「ただ『純粋な戦い』という意味では、ヨーロッパのF2が有効だと思っています。向こうはセットアップの決め方、週末の流れのスピード感などを養うのに適している。日本ではある程度のデータがあらかじめ揃っていて、そのなかから“もうひとつ先”に行くことが求められる。対して、欧州は限られた時間の中でパパッとセットアップを決めて、あとはドライバーがなんとかするしかない。どちらがいい、悪いという話ではなく、そうした中身・内容の違いです」

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 

 6月6日発売のauto sport No.1508では、中野ならではの視点で日本人ドライバーが欧州で苦戦を強いられる要因を分析しているほか、2019年のFIA-F2、FIA-F3を戦っている松下信治、角田裕毅、名取鉄平の3名についても独自の視点で評価している。

■通信販売でのお求めはコチラ
■今すぐ読める電子書籍はコチラ


関連のニュース