F1第9戦オーストリアGPの優勝の興奮冷めやらぬ中で行われたホンダF1の山本雅史マネージングディレクターへのインタビュー第2弾。レース後半にライバルを次々とオーバーテイクする力走を見せただけではなく、表彰台でホンダのロゴを指さすマックス・フェルスタッペンの配慮にも脱帽していた。
このインタビューの時点ではまだ裁定結果は出ておらず、フェルスタッペンはシャルル・ルクレール(フェラーリ)とのオーバーテイクの際の接触によって、ペナルティで勝利を失う可能性もあった。だが山本MDにとっては、マックスの正しさは自明のことだったようだ。(※その後、ルクレールとフェルスタッペンの接触はレーシングインシデント判定され、ペナルティが科されないことが正式に決定した。)
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――フェルスタッペンはあれだけアグレッシブなドライビングをレース序盤から続けて、最後までタイヤを持たせたことにも驚かされました。
山本雅史マネージングディレクター(以下、山本MD):レッドブルの戦略も、いつもながらよかったですね。フェラーリはソフトタイヤを選んだのに対し、ミディアムタイヤスタートのマックスは、ルクレールの9周後にピットインしました。その9周のタイヤのマージンも、少なくなかったと思いますよ。
――ただ、ルクレールはオープンエアで走ることが多かった。タイヤの持ちで、前にマシンがいる状況のフェルスタッペンとはダウンフォースの違いは大きかったはずです。
山本MD:たしかにそうですね。
――この暑さで前のクルマに詰まると、タイヤだけでなくエンジンやブレーキの冷却にも大きな影響が出ます。ルクレールはそこから比較的自由でした。
山本MD:ただ、マックスが特徴的だと思ったのは、ターン9で丘から下って行くところがありますよね。あそこでマックスだけは、1回マシンを右に寄せて走行ラインを変えるんですよ。
あれはひょっとして、クーリングのためなのかな、と思いました。前のクルマの熱を拾わないようにね。毎ラップ、そうやっています。一方、他のドライバーは、やっていません。もしエンジンなどを少しでも冷やそうとして意識的にラインを変えているのだとしたら、本当にマックスは凄いですよ。