レッドブル・ホンダが初優勝を果たしたF1第9戦オーストリアGPから、早くも10日以上が経った。レース翌日にイギリス・ミルトンキーンズに戻ったホンダの田辺豊治テクニカルディレクター始めスタッフたちは、すぐに今週末の第10戦イギリスGPに向けての準備を開始した。とはいえその合間を縫ってささやかな祝勝会を開き、喜びを分かち合ったという。
――ミルトンキーンズでも、祝勝会を行なったと聞きました。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):ええ。ファクトリー近くのビール醸造所に、スタッフが集まって祝いました。その種のイベントを行うのは、初めてだったと思います。イギリスは日本のような飲み会の文化がないんですが、そこに全従業員の過半数が来たというのは、やはりそれだけ優勝が嬉しかったんだと思います。
――喜びが弾けていましたか?あるいはホッとした感じの方が、強かったですか?
田辺TD:両方ですね。弾けつつ、ホッとしてるというか。手放しで喜んでるわけでもない。それはさくらのスタッフと電話で話をしても、ミルトンキーンズと同じでした。まだまだだと。
――レース終盤の「モード11、ポジション5」の指示、あれはかなりパワーユニットに厳しい使い方を強いたと思うんですが。
田辺TD:状況を見ながら、どこまでプッシュできるか、それをどこまで続けられるか、判断しながら、最大のパフォーマンスを発揮できる使い方をしました。
――フェルスタッペンに、「イギリスでもあれが使えたらいいね」と質問したら、「そうしたいね」と言っていました。
田辺TD:まあ、使いたいだけ使えればいいんですが、やはり決められたエンジンライフの中で、どれだけ使えるかを考慮しないといけない。ダメージ具合を見ながらコントロールしていますので、あくまで余力を残しながらですね。無理はしません。
――終盤、燃料は大丈夫だったからあのモードを選択できた。逆にいうと、あのモードを使うことをしっかり考慮して、それだけの燃料を搭載していたのでしょうか?
田辺TD:全力投球できる状態でクルマを送り出し、全力投球したということですね。