「僕にとって、今日のレースはタイヤを管理しながら戦う難しいレースだった。セーフティカーが出たとき、ラッキーなドライバーもいたし、そうでないドライバーもいた。僕のクルマはピットインできなかった」
F1第10戦イギリスGP決勝レースのほとんどをトップ10内で進めていたアレキサンダー・アルボンは、そう言って事実上の母国グランプリで入賞できなかった悔しさを表現した。
なぜ、アルボンはピットインできなかったのか。トロロッソのテクニカルディレクター、ジョディ・エギントンはこう説明した。
「今日のレースは、もっとうまくやれたのではないかと思う。アレックスは素晴らしいドライブを見せてくれたが、レースを通して抱えた彼のマシンがトラブルを抱えていたため、それに対応しなければならなかった。そのためピットストップ戦略のオプションが制限されたんだ。タイヤを労って走行していたものの、彼のタイヤはレースが終わる2周手前で完全に終わってしまい、(ニコ)ヒュルケンベルグを抑えきれなかった」
チーム側も、なぜアルボンが2度目のピットインをしなかったのか、詳細は語らなかった。ただし、アルボンは少しだけ、その件について次のように触れた。
「クルマに触ることができない問題を抱えていて、周りのドライバーがピットインしても僕はステイアウトしなければならなかった。フラストレーションのたまるレースだったけど、そういうこともある」
この疑問について、口を開いたのがホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターだった。理由は、その原因がホンダ側にあったからだ。
「PU(パワーユニット)に高圧系に関連した問題が出て、警告灯が点灯していたため、(ピットインしても)エンジンを切らないと、クルマに触ることができない状況にあることをチームに伝えました」
ここでトロロッソの前に並べられた選択は、ピットインしたあと、エンジンを切ってからタイヤ交換を行い、再びエンジンを始動させてレースに復帰するプランAと、そのピットストップロスを捨ててコースにとどまり続けるプランBの2つがあった。