2019年F1第11戦ドイツGPに、全日本スーパーフォーミュラ選手権およびスーパーGTのディフェンディングチャンピオンである山本尚貴が訪れている。現在ホンダとともにF1にチャレンジするための準備をしているという山本尚貴だが、7月23日にはレッドブルで初めてF1シミュレーターにも搭乗している。
その時の状況とシミュレーターの手応えを聞いた。
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――昨年のアブダビGP以来のF1の現場ですが、山本尚貴選手としては、F1への思いは、あのときから変わりありませんか。
山本尚貴:正直、F1に乗りたいという気持ちはずっと持っていて、いまも変わらず持っています。
――ドイツGPに来る前、レッドブルのシミュレーターにも乗ったということですが、いかがでしたか。
山本尚貴:これまでもシミュレーターには乗ったことがありますが(編注/栃木県の本田技術研究所 HRD SakuraにあるスーパーGT用のシミュレーター)、F1のシミュレーターには乗ったことがなかった。
僕だけでなく、ほかの日本人も同じで、近年のパワーユニット(PU/エンジン)になってからのF1マシンやシミュレーターを操作したことがあるのは松下(信治)選手しかいない。
そんな中、このような経験を得る機会が持てた。漠然と『F1って操作が複雑なんだろうな』と思っていましたが、実際どうなんだろうという感じで乗ってみたら……めちゃくちゃ面白かったです。
もちろん、『面白い』という表現をいまの僕の立場で使うことが正しいのかどうかは疑問ですが、純粋に自分の知らなかった世界を経験できて、面白かったと。
いまの現役のF1ドライバーが速くクルマを走らせるために、これだけの仕事量があって、これだけの操作をしているということを知っただけでも僕にとってすごくプラスになりました。
――シミュレーターではどんなことをやったのですか。
山本尚貴:時間が限られていたし、今回が初めてということで、まずはレッドブルのシミュレーターを体験しました。初歩的なところ、F1の操作の大本となるところをやっただけで、レース本番を想定したような使い方は今回はしていません。