2019年F1第11戦ドイツGPに、全日本スーパーフォーミュラ選手権およびスーパーGTのディフェンディングチャンピオンである山本尚貴が訪れていた。現在ホンダとともにF1にチャレンジするための準備をしているという山本尚貴だが、7月23日にはレッドブルで初めてF1シミュレーターにも搭乗している。
その時の状況とシミュレーターの手応えを聞いた。
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——実車とシミュレーターでは違うとは思いますが、同じ鈴鹿サーキットを走ってみて、スーパーフォーミュラとF1のシミュレーターではどう違いましたか。
山本尚貴:まず、ラップタイムがF1のほうが圧倒的に速い。だいたい10秒速いので、流れる景色がまったく違います。スーパーフォーミュラですら、結構速くてクルマをコントロールするのが難しいんですが、F1はそれより10秒速い。
加えて、僕がいままで乗ってきたレーシングカーというのは、よりシンプルで、ブレーキとアクセルとステアリングを上手に使ってコントロールするだけでしたが、F1はその間に適切なマッピングを使うようチームから指示を受けながら走る。
コックピットのなかで行うマッピング変更が、セッティングのアイテムの1つになっている。しかもそのマッピングは1つではなく、いくつもある。だから、マシンをコントロールする腕だけでなく、頭を使わないといまのF1は速く走らせることができないというところが、最大の違いです。
——10秒速いというのは、具体的にラップタイムはいくつぐらいだったんですか。
山本尚貴:(1分)30秒は切っていました。(編注/鈴鹿のコースレコードは2017年日本GP予選でポールポジションを記録したルイス・ハミルトンの1分27秒319で、昨年の予選Q1カットオフタイムは15番手のランス・ストロールの1分30秒317だった。)
——S字はどうでしたか。
山本尚貴:いままではブレーキを使って荷重移動させたり、ブレーキを使うことが僕のなかでは1つの操作方法のセオリーだったんですが、いまのF1はパワーユニット(PU/エンジン)の回生がある。
だから、制動力をブレーキペダルだけに頼るんじゃなくて、回生も頭に入れておかなければいけないし、それをうまく使えば、クルマのコントロールにも使えます。その感覚はいままでなかったので、そこは慣れるのに時間がかかりましたが、うまく順応して対応はできたと思います。
——ヘルメットやレーシングスーツなどのレーシングギアは何を着用したのですか。
山本尚貴:レッドブル側ですべて用意していてくれました。ただ、僕はダイレクトに操作する部分となるグローブとシューズは自分のものを持っていき、それを使わせてもらいました。