メルセデスF1のルイス・ハミルトンは、2019年シーズンでこれまでに12戦8勝というずば抜けた成績を挙げているにもかかわらず、あと4勝を獲得し損ねた原因を探ろうとしている。
2019年シーズンのメルセデスはF1の戦いをほぼ完璧に支配している。12戦中10戦で圧勝し、これまでに敗れた相手はレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンのみで、コンストラクターズ選手権では2位のフェラーリに桁外れの250ポイント差を付けてトップに立っている。
メルセデスの優勝はその大半がハミルトンによるものだ。ドライバーズ選手権でもチームメイトのバルテリ・ボッタスに対し62ポイントもの大差でリードしている。
今後不測の大惨事でも起きないかぎり、ハミルトンは6度目の世界タイトル制覇に向けてこのまま順調に突き進むだろう。
だが、2019年シーズンのこれまでを振り返る時、ハミルトンは達成したことよりも取り逃がしたものと、その理由を探ろうとしているようだ。
「これまでのレースを振り返りながら自分に言うんだ。『12分の8は獲得できたけれど、まだ何かが欠けている』ってね。どのように4戦を逃したのか、それらのレースウイークでは何がどう不完全だったのかが問題だ」
「幸運だったレースもある。フェラーリの方が速かったけれど、ときにはチームのミス、あるいはドライバーのミスでポジションを下げたこともあったし、バクーやバーレーンではフェラーリのマシンにトラブルもあった。そうでなければ(勝利を挙げたのは)彼らだっただろう」
「それほどまでに僕たちは瀬戸際にいるということだ。当たり前のことなど何もないのだから、努力を続けていくしかない」
確かに、メルセデス陣営でよく耳にするのは“自己満足”という言葉だが、それは安心しきってはいけないという文脈で使われているようだ。
「このチームの本当に優れた点は、誰ひとりとして自己満足に陥らないことだと思う」とハミルトンは付け加えた。
「時々そうなってしまうことがあったとしても、早い時点でその芽を取り除いて、元の気持ちに戻れている」
「でも大抵の場合、僕たちは自己満足には陥らない。常に同じ気構えでレースに臨む。これだけ成功を重ねてきても、全員が以前と同じように全力で仕事をする。誰かひとりが他の人より勝っているなんていうことはないし、お互いをたたえ合うんだ」