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F1 ニュース

投稿日: 2019.08.28 12:18
更新日: 2019.12.27 19:51

【ホンダF1を語りつくす座談会(3)】レッドブルは年間5勝いける! スペック4の投入時期と後半戦に勝てるグランプリを大胆予想

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F1 | 【ホンダF1を語りつくす座談会(3)】レッドブルは年間5勝いける! スペック4の投入時期と後半戦に勝てるグランプリを大胆予想

 いよいよ、2019年シーズンの後半戦が始まります。開幕前の予想ではフェラーリついにメルセデスを上回るのではないかという見方がありましたが、いざ開幕してみると、フェラーリは様々な面で苦戦している様子が見えた前半戦。

 一方でレッドブル・ホンダはシーズン前半に2勝を挙げ、コンストラクターズランキング2位が見えてきました。10月には日本GPもありますし、ますますその活躍が気になるところです。

 座談会の3回目は、そんなフェラーリの苦戦と、シーズン5勝を目指して奮闘するレッドブル・ホンダを含めた後半戦の行方について、オートスポーツwebでもお馴染み、1987年よりF1の取材を行うジャーナリストの柴田久仁夫氏と、16年以上にわたって毎年全レースを現場で取材している尾張正博氏からお話をお伺いします。ちょっと長めですが、ごゆっくりお楽しみください。

※この座談会は8月上旬、ピエール・ガスリーとアレクサンダー・アルボンの交代報道直前に行われたものです。ご了承ください。

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──(MC:オートスポーツweb)ここからは、2019年シーズン後半戦についてお話をお伺いしたいと思います。レッドブル・ホンダは前半戦のうちに2勝し、5勝というヘルムート・マルコ博士(レッドブルのモータースポーツアドバイザー)の掲げた目標に近づきました。残り3勝に期待したいところですね。

尾張正博氏(以下、尾張):いけるんじゃない? 僕は今年、(マックス)フェルスタッペンはチャンピオンを獲れると思っているよ!

柴田久仁夫氏(以下、柴田):僕もいけると思う。(鈴鹿の前に投入される予定の)スペック4のパワーユニット(PU)は、スペック3みたいに中途半端なものではみたいだし。

──スペック4はアップデートの幅が大きいということですか? 楽しみですが、メルセデスを超えられるでしょうか。

尾張:僕は第12戦ハンガリーGPの予選が分岐点だったと思う。第5戦スペインGPの時に、(低速コーナーの続く)セクター3で速かったメルセデスには、今年は誰も追いつけないと考えていた。

 そのセクター3と同じような低速のレイアウトがハンガリーなんだけど、メルセデスはそこでさらにアップデートを投入してきたから、彼らが予選でぶっちぎってもおかしくはなかった。スペインの予選ではそうだったからね(ポールポジションのバルテリ・ボッタスが1分15秒406、4番手のフェルスタッペンが1分16秒357)。

──そう考えると、ハンガリーでポールポジションを獲得できたということは、アップデートがかなりうまく機能したということですね。

柴田:セクタータイムの話をすると、ハンガロリンクでは高速コーナーの多いセクター1でフェラーリが速かった。でもセクター2以降はメルセデスとレッドブルが拮抗していたけれど、そのなかでフェルスタッペンが飛び抜けていた。

尾張:セクター3だけで言えば、フェルスタッペンは0.075秒速かったし、トータルでは(2番手のボッタスよりも)0.018秒速かった。

尾張:0.075秒というのはわずかな差だけど、セクター3はこのサーキットのなかで最も低速の区間。ということは、レッドブルのマシンにはダウンフォースがあるということでしょう。

柴田:ボッタスとフェルスタッペンの予選アタックを比較する動画を見ると、セクター1とセクター2はボッタスの方が速かったけれど、セクター3でフェルスタッペンが逆転している。でもシンクロしているような感じだったよね。あの距離を走って0.075秒ってすごい。

──実際にレッドブル・ホンダとフェルスタッペンの速さを再確認できると、今後の活躍に期待がかかりますね。では後半戦はホンダF1はどのグランプリで勝てそうですか?

尾張:マシンにダウンフォースがあるということは、第15戦シンガポールGPと第18戦メキシコGPは勝てるかもしれない。第13戦ベルギーGP、第14戦イタリアGPは厳しいだろうね。

柴田:でも、最近ではモンツァもダウンフォースをつけるからどうだろう。

──コース特性に左右されるところもありますが、まずはパワーサーキットでもあるベルギーとイタリアでどこまでメルセデスに迫れるか、というところでしょうか。

尾張:その2つでホンダが戦えると考えられるのも、ある程度パワーの必要な第10戦イギリスGP(シルバーストン)でレッドブル・ホンダが遅かったかと言えば、決して遅くはなかったからなんだよね。

柴田:その実績もあるからレッドブルの首脳陣は、モンツァではメルセデスと互角に戦えると考えているみたい。スパはどうかな、という感じ。ただスペック4を投入すると、(年間使用制限規定オーバーで)グリッド降格ペナルティを受けることになるからね。

尾張:スペインのQ3ではボッタスとフェルスタッペンの差が0.9秒だったから、田辺(豊治/ホンダF1テクニカルディレクター)さんも、今年の勝利はダメかもしれないという感じだった。レッドブルとホンダ関係者は誰もがそう思っていたけど、でも勝った。ということは、まだまだパワーユニット、そしてシャシーに伸び代があるということ。

 レッドブル・ホンダのピエール・ワシェ(テクニカルディレクター)は、あまり「俺たちは速いぞ」ということを言わない人なんだけど、オーストリアに持ち込んだフロントウイングの効果を見て「今年のレギュレーションをふまえたコンセプトがようやくわかった」と言っていた。

柴田:フランスでもレッドブルは大きなアップデートをしたんだけど、それは不発に終わったんだよね。

尾張:そのアップデートをもう少し詳しく話すと、基本的に(F1を開催するサーキットには)中高速コーナーが多いので、レッドブルはその傾向の強いサーキットに向けてフロントウイングを作っていた。そこでのデータを採ることもできて、効果があるということもわかった。

 だけどストップ・アンド・ゴーのレイアウトであるポール・リカールで開催された第8戦フランスGPでは、当然このウイングの効果は出ない。だけど彼らはあえてそこでもその新しいフロントウイングを使ってデータを採った。それでその後のレースで使えるなと判断したからそのデータに基づいて急いで新しいウイングを作って、ひとつだけオーストリアに間に合わせた。

 どうして(ピエール)ガスリーがそれを使えなかったのかとレッドブルに質問したら、「ただ間に合わなかっただけだ」と言っていたよ。ひとつだけでも急いで先行投入すくらい自信があった。だからフリー走行2回目にフェルスタッペンがクラッシュしたけれど、あれはリヤからだったのでフロントウイングは無事だった。


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