F1第13戦ベルギーGPの予選後に行われた定例の囲み会見を一通り終えた田辺豊治F1テクニカルディレクターは、「本日のF2決勝レースで大事故が起きたことについて、少し触れさせてください」と語った後、次のように続けた。
「亡くなられたアントワーヌ・ユベール選手のご冥福をお祈りするとともに、ご家族、ご友人の皆様に心からお悔やみ申し上げます。また、同じ事故の中で負傷されたファン・マヌエル・コレア選手の、少しでも早い回復をお祈りいたします」
F1のベルギーGPの予選後に行われた、F1のサポートレースとして開催されていたFIA-F2のレース1で、2周目のオー・ルージュを駆け上がったラディオンで悲惨な多重事故が発生していた。多くの人々の祈りも虚しく、18時35分にユベールは帰らぬ人となり、ホンダの会見はその直後に行われたため、田辺TDはホンダを代表して、哀悼の意を表したのだった。
ホンダの会見の前には、レッドブルがドライバーふたりの囲み会見を行っていた。通常であれば、そのコメントを元にチームの広報がリリースを作るのだが、この日、レッドブルは予選に関するドライバーのコメントは掲載せず、やはりクリスチャン・ホーナー代表のユベールの冥福を祈るコメントのみを掲載した。
そのため、なぜマックス・フェルスタッペンがQ1の1回目のアタックを途中でやめてピットインしたのかがわからないために、フェルスタッペンと田辺TDのコメントを元に解説していきたい。
フェルスタッペンによれば、「本来、使えるはずの通常のパワーを使えず、コンマ数秒失ってしまった」という。いったい、何が起きたのか。