ベルギーGPブログその1を送った直後に、スパ・フランコルシャンのパドックにいる僕たちに、悲しいニュースが降ってきました。まさかFIA-F2ドライバーのアントワーヌ・ユベールが、死んでしまうとは……。
事故を知ったのは、F1予選後のアレクサンダー・アルボン囲みの最中でした。
PU交換で後方グリッドスタートの決まっているアレックス(アルボンの愛称)でしたが、レッドブルマシンの感触は悪くないようで、出てくる言葉も滑らかでした。そうやってやり取りしてる最中に……。
背後のモニターでF2レースを見ていた記者が大声をあげて、それで僕らも事故を知ったのでした。
この時点では詳しい状況はわからないながらも、1回だけ映ったリプレイ映像を見ただけでも、ただならぬ事故だったのは理解できました。囲み取材は中断され、アレックスも画面を食い入るように見ています。考えてみればアレックスとアントワーヌは、2年前のGP3でチームメイトだったんですよね。
レースは中止となり、すぐに松下信治選手に話を聞きに行きました。
表彰台を狙っていた彼には痛いレース中止でしたが、それより何より事故に遭ったアントワーヌたちの安否を心配していました。
今回がF2初参戦だった佐藤万璃音選手は、事故直後にオールージュを上がって行き、クルマの残骸に前を塞がれて、その場に止まったとのことでした。
あとで写真を確認すると、アントワーヌのコクピットのすぐ後ろで止まっていました。
アントワーヌはルノーのサポートを受けており、フランス人ジャーナリストたちがチームからの発表を遠巻きに待ってました。
そして午後7時過ぎ、アントワーヌの死亡を正式に伝えるリリースが、FIAから配られました。
涙雨などという陳腐な表現は使いたくないですが、決勝日のスパ・フランコルシャンは前日までとは打って変わって、朝から小雨が降り続いてました。
メディアセンターの外廊下からは、オールージュの上り坂がちらっと見えます。