マレーシアGPといえば政府の肝煎りで開催されていることは周知の事実で、その国営石油会社をタイトルスポンサーとするメルセデスAMGにとっては準地元GPと言っても差し支えのないほど気合いは充分。パドックを訪れるゲストの数も並みではありません。
赤道直下の暑さの中で行なわれるそんなレースでも、勝つためには頭脳はクールにということで、なんとエンジニアたちが居並ぶピットウォールにはエアコンが装備されているらしく、確かにメルセデス・ベンツの市販車のような送風口と室外機が接地されています。もちろんそんな贅沢な装備は全11チームでメルセデスAMGだけ。こんなところにも王者の風格が表われているのです。
クールと言えば、金曜の夕方に行なわれたジェンソン・バトンの300戦を祝う会にルイス・ハミルトンが姿を見せてバトンと和やかな雰囲気で立ち話を始め、関係者でごった返す会場なのに珍しく長話。
それだけバトンとは良いチームメイトであったということなのでしょうが、そこへ現同僚のニコ・ロズベルグが遅れてやってくると、ハミルトンはバトンに別れを告げて現同僚とは目も合わさずにさっさと退散してしまったのでした。こちらもクール……というか冷え切った関係のようで、思わず周囲は苦笑い。
クールとは行かなかったのがルノーのケビン・マグヌッセンで、FP-1でブリーザーパイプから燃料が漏れ出て出火。ルノーのマシンもガレージ前も消火器の粉末だらけで真っ白に。なんとかFP-2の途中までにマシン修復を終える頃には、メカニックたちの服も身体も真っ白になっていて、「はい、次!」「次の人!」と順番にエアダスターで白い粉を吹き飛ばしてもらっていたほど。
でもガレージ前の路面にはいつまでも粉末が残っていて、最も割を食ったのはピットインするたびにそこを横切って白い煙をまき散らさなければならなかったトロロッソだったかも。