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F1 ニュース

投稿日: 2019.09.20 13:00

スペイン人ライターのF1便り:フェラーリの優先順位に変化の兆し。エースとしての正念場を迎えるベッテル

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F1 | スペイン人ライターのF1便り:フェラーリの優先順位に変化の兆し。エースとしての正念場を迎えるベッテル

 スペイン在住のフリーライター、アレックス・ガルシアのモータースポーツコラム。2019年シーズン当初はエースドライバーとしてチームを引っ張る存在だったセバスチャン・ベッテル。しかし、度重なる自身のミスだけでなく、チームメイトであるシャルル・ルクレールがベルギーGP、そしてフェラーリの地元であるイタリアGPで2連勝したことで苦しい立場に。今後のフェラーリはベッテルに対してどのように接していくのだろうか。

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 ベッテルは2018年シーズンからいったい何回のスピンを喫しただろう?どこまで数えたか分からなくなりそうだ!もちろんこれは誇張だが、4度のF1世界チャンピオンであり、スクーデリア・フェラーリのエースドライバーであるベッテルが、2018年のドイツGP以降あまりに多くのミスを犯している事実は変わらない。

 2018年のベッテルは、母国GPである雨のホッケンハイムでトップ走行中にドラマチックなミスを喫しリタイア。モンツァではルイス・ハミルトン(メルセデス)と接触しスピン、さらに鈴鹿にオースティン……そして2019年は第2戦バーレーンGPでまたもスピンを喫し、第10戦イギリスGPではマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とクラッシュ、さらには第14戦イタリアGPで、単独スピンに加え他車を巻き込んでの接触&ペナルティだ。私は不思議に思ってしまう。ベッテルはどこに向かっているのか?

 だが、一方で今シーズンのベッテルが確かなパフォーマンスを発揮しているところも我々は目にしている。第7戦カナダGPではフィニッシュラインまで素晴らしいレースを見せていた。最終的にはタイムペナルティを科され2位となってしまい見事なパフォーマンスが不要なミスにかき消されてしまったのは残念だったが……。

 ベッテルはフェラーリで5シーズン目を迎えているが、まだタイトルを獲得できていない、そのため極度のプレッシャーにさらされていると私は考えている。5年という期間は、かつてフェルナンド・アロンソとフェラーリの状況が悪化していった時と同じ長さだ。

 アロンソと同じように、ベッテルはタイトルを勝ち取るチャンスが2度あったが、両方のチャンスをふいにしている。アロンソの場合は滅多にないミスで高い代償を払い、フェラーリも十分な競争力のあるマシンを提供できていなかった。ベッテルの場合も、フェラーリに競争力がないだけではなく、メルセデスが無敵であるという点を除けば同じ状況だ。

 2015年以降のフェラーリはメルセデスほど強さを出せず、ベッテルは過度に自分を駆り立ててタイトルのために戦うチャンスを得ようとしなければならなかった。2017年に次々と技術上の問題が起きてタイトル争いから脱落するまで、ベッテルは善戦していたのだ。そして2018年と2019年もベッテルは力強い走りをするかに思えた……。

 今も私は、ベッテルがミスをする原因は渾身の力で走行しているからだと感じずにはいられない。ベッテルは、メルセデスに勝つためには取れる限りのポイントが必要だった。ベッテルはもっと楽なポジションに落ち着くこともできたかもしれないが、それでは不十分だった。真のチャンピオンにとって、2位になることは選択肢にはないのだ。

セバスチャン・ベッテル、シャルル・ルクレール(フェラーリ)
セバスチャン・ベッテル、シャルル・ルクレール(フェラーリ)


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