F1のモータースポーツ担当マネージングディレクターを務めるロス・ブラウンは、この数週間におけるフェラーリの復活は、F1の先頭集団内の序列を大きく変えるものとまではいかないが、2020年のタイトル争いを占う上で非常に興味深い動きであると考えている。
2019年シーズン前半では、何度か勝利に近づいたものの優勝が叶わなかったフェラーリだが、F1のサマーブレイク後のベルギーGP、イタリアGP、シンガポールGPで3連勝を成し遂げた。
マリーナベイはデータ上、低ドラッグのフェラーリのSF90とは相性が良くないとみられていたが、予想外の勝利を飾ったため、フェラーリはついにすべてのタイプのコースで高い性能を発揮できるマシンを作り上げたとライバルたちは考えている。ルイス・ハミルトンは現時点ではフェラーリがメルセデスより優位にあると語った。
しかし、かつてフェラーリでテクニカルディレクターを務めたブラウンは、古巣フェラーリの勝利を喜んではいるが、同チームがF1のトップの座を奪ったとまでは考えていない。
「シーズンの3分の2におけるトップ3チームについて簡単に言えば、フェラーリはエンジンが違いを生み出すコースでは強力だったし、レッドブルには空力が最も重要なコースでチャンスがあることが知られていた。一方でメルセデスはより完成されたパッケージを持ち、優れたタイヤマネジメントを行うことができていた。こうしたことはほぼ誰もが意見を同じくするだろう」とブラウンはシンガポールGP後のレビューで語った。
「しかし、シンガポールでのレースが終わってみれば、フェラーリが1-2フィニッシュを達成し、メルセデスドライバーが表彰台に不在だった。それが大きな話題となっている」
「それでは我々は2週間の間に大変革を目撃したのだろうか? そのようなことはまったくない。メルセデスはあらゆるレースで今も最強であり、ライバルチームが彼らに勝つためには、すべてを完璧にこなさなければならない」