F1第16戦ロシアGP土曜日はトロロッソ・ホンダのダニール・クビアトがフリー走行3回目のセッション中にコース上でストップし予選不参加。またレッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボンは予選Q1でクラッシュを喫しタイムを計測することができなかった。決勝に向けてふたりのパワーユニット(PU/エンジン)の状況を田辺豊治F1テクニカルディレクターに聞いた。
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――フリー走行でクビアトにトラブルが起きました。
田辺豊治F1テクニカルディレクター(以下、田辺TD):まだ調査中ですが、パワーユニットが壊れました。詳細はここ(サーキット)では調べきれないので、HRD Sakura(栃木県の本田技術研究所)に返して調べることになると思います。
―国際映像の無線ではクビアトが「エンジン、エンジン」と言って、コース脇にマシンを停めました。
田辺TD:ドライバーが異常を感じて、すぐに停めてくれました。
―トラブルはICE(エンジン)ですか。
田辺TD:ICE周りです。
―設計に関わる不具合だと、今後のレースが心配ですね。
田辺TD:すでにスペック4はベルギーGPから使用していて、ほかのスペック4には同様の問題が起きていません。しかも、今日問題が起きたスペック4は昨日走り始めたばかりなので、基本設計に問題があるとは現時点では考えていません。ただし、まだ正確に分析していないので、詳細はこれからです。
―今シーズン、セッション中にパワーユニットのトラブルでコース上でストップしたのは、今回が初めてだと思いますが。
田辺TD:中国GPでクビアトのパワーユニットのデータに異常を発見してPU交換しましたが、あれはピットインした後のタイミングでした。今回のようにコース上で止まったのは、おそらく今年これが初めてだと思います。本当はコース上でストップするトラブルはゼロにしたかったんですが、残念です。
―クビアトが予選に参加しなかったのは?
田辺TD:ペナルティによる最後尾スタートが確定していたので、確実な交換作業を実施することを優先し、予選に出走しないことを選択しました。
金曜日にもトラブルがあって、あまり走ることができておらず、土曜日もほとんど走っていないため、日曜日のレースはかなり厳しい戦いになると思いますが、彼にとってはここは母国グランプリなので、われわれとしてはパワーユニットのキャリブレーション(調整)などを万全に行い、レースに備えたいと思います。