2019年F1第16戦ロシアGP決勝は、ホンダ製パワーユニット(PU/エンジン)を搭載するレッドブルのマックス・フェルスタッペンが9番グリッドから4位、チームメイトのアレクサンダー・アルボンはピットレーンスタートから追い上げ5位入賞を果たした。いっぽうのトロロッソ勢は歯車が噛み合わずダニール・クビアトは12位、ピエール・ガスリーは14位に終わっている。ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターにロシアGPの所感と次戦日本GPの抱負を聞いた。
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――精一杯、戦いましたが、4位に終わりました。
田辺豊治F1テクニカルディレクター(以下、田辺TD):メルセデスはタイヤの使い方と戦略で、予選で速かったフェラーリを抑えきりましたが、われわれはグリッドペナルティもあり、彼らとの戦いに加わることができませんでした。ただし、ふたりのドライバーは、グリッドペナルティがあったにも関わらず、今日望める最高位となる4位と5位でフィニッシュしてくれました。特に(アレクサンダー・)アルボン選手はピットレーンスタートから、あそこまで盛り返して5位でフィニッシュできたことは、ポジティブな結果だったと思います。
――レース中盤にセーフティーカーが導入されたタイミングでもう一度、ピットストップは考えなかったのですか。
田辺TD:レース中もピットとレッドブルのオペレーションルームでいろいろとやりとりをしていたようです。また、レース後のブリーフィングでその議論はありましたが、今日はできる限りのことはやったということです。もちろん、あそこで(前の3台と同じ)ソフトを履くという作戦もあったとは思いますが、やってみないとわかりません。
――トロロッソのレースは?
田辺TD:ペースはそんなに悪くなかったんですが、歯車が噛み合わない展開となりました(ピエール・ガスリーがピットストップを行なった直後にバーチャル・セーフティカー(VSC)が入ったり、ダニール・クビアトはVSCが出た直後にタイミング良くピットインしたのに、タイヤの内圧に問題が発覚して、再びピットイン)。残念です。
――比較的、荒れた展開となったレースで4台完走しました。
田辺TD:4台そろってポイント獲得とはなりませんでしたが、4台完走したので、半分マルですね。次の鈴鹿こそ、第6戦モナコGPに続いて、今シーズン2度目の4台入賞を目指します。
――フェルスタッペンがレース中に「コーナーの入口でハンドブレーキがかかったようになる」という症状を訴えました。レース後にそのことを尋ねると、「最初だけで、あとは問題なかった」と言っていましたが、何があったんでしょうか。
田辺TD:まさに、ハンドブレーキがかかったような症状です。ブレーキに関することなので、本来はチーム側のエンジニアに聞いてもらうのがいいんでしょうが、現在のF1はブレーキは回生エネルギーも兼ねていてBBW(ブレーキ・バイ・ワイヤ)によってPU側と統合制御されているので、少し説明すると、土曜日まではいっさいそのような症状はなかったので、レースコンディションが少し違っていたのかもしれません。ただ、走行中に設定をドライバーが変更して、すぐに回復しました。