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F1 ニュース

投稿日: 2019.10.08 13:29
更新日: 2019.11.21 13:44

【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第12回】「使えるものはすべて使った」大苦戦を覚悟のロシアでペナルティはね退け5戦ぶり入賞

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F1 | 【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第12回】「使えるものはすべて使った」大苦戦を覚悟のロシアでペナルティはね退け5戦ぶり入賞

 今シーズンで4年目を迎えるハースF1チームと小松礼雄チーフレースエンジニア。第15戦シンガポールGPでは狙い通りの戦略を成功させるも、フロントウイングにビニール袋が引っかかるというまさかの不運に。一方シンガポール以上の苦戦を予想していた第16戦ロシアGPでは5レースぶりの入賞を果たした。そんな現場の事情を、小松エンジニアがお届けします。

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 夏休み明けのスパとモンツァに続いての連戦となったシンガポールGPとロシアGP。シンガポールについてはレース前から苦戦を予想していた一方で、その次のロシアでは久しぶりの入賞となりました。

 まずはシンガポールGPですが、上述の通り、レース前から厳しい週末になるだろうなと予想していました。それでもレースでは舞台となるマリーナベイ・ストリート・サーキットのオーバーテイクの難しさもあり、ケビン(マグヌッセン)は長いことポイント圏内で走ることができました。結果的には不運がありポイント獲得には至りませんでしたが、良いレースが出来たと思います。

 金曜のフリー走行を終えた時点で、土曜の予選が相当厳しいものになることは明らかでした。そこで想定外ではありましたが、金曜の夜にロマン(グロージャン)のクルマを再び開幕戦仕様に戻しました。これまでのデータから、シンガポールには新しい仕様の方が合うという結果が出ていたのですが、とにかくフリー走行で速さが足りなかったので、2台でクルマの仕様を分けて走った方が先に繋がるデータを採れるので仕様を変えることに決めました。このレース自体で前進したというわけではないですが、今後と来年に向けては良い収穫がありました。

2019年F1第15戦シンガポールGP ロマン・グロージャン(ハース)
ロマン・グロージャン(ハース)

 予選ですが、ロマンはQ1でミスもあって18番手、ケビンはQ2で15番手でした。絶対的に速さがなかったので、ここではどんなにやってもQ2進出が限界でした。なんとか12番手辺りまで行ければ良かったのですが、残念ながらケビンの15番手が精一杯でした。

 決勝レースではロマンが11位、ケビンが17位と、入賞まであと一歩のところまでいけました。特にケビンに関しては、良いペースで9位を走っていたのですが、ロマンと(ジョージ)ラッセルの接触でセーフティカー(SC)が出たあたりでビニール袋がフロントウイングに引っかかってしまうという不運があり、クルマのグリップやバランスが大きく変わってしまったので残念でした。たかがビニール袋でと思われるかもしれませんが、フロントウイングというクルマの空力のすべての発端となる重要なところに引っかかってしまったので、かなりの影響があったんです。

 しかし、それまでは良いレースができていたと思います。クルマの出来を考えれば第1スティントのペースも良かったですし、1回目のピットストップも狙い通りの位置でケビンをコースに戻すことができました。中団勢のなかで最初にピットに入ったのが(ダニール)クビアトだったのですが、彼は後方にいたウィリアムズの(ロバート)クビサに引っかかるだろうと予想されたので、この段階ではウチはクビアトの動きには反応しませんでした。

 一方で彼に反応した(セルジオ)ペレスや(キミ)ライコネンは、クビアト同様にクビサの後ろでタイムをロスしました。ケビンのすぐ後ろには(ピエール)ガスリーもいましたが、ガスリーはハードタイヤを履いていたのでウチをアンダーカットするためにピットインすることは無いだろうと考え、彼のことは気にせず、ライコネンがクビサを抜いた段階でケビンをピットに入れようと決めました。

 ライコネンがクビサを抜いたのを見て、次の周にケビンをピットに入れました。結果、ケビンは狙い通りライコネンの前でコースに戻ることができて、誰に詰まることもなくフリーで走ることができました。前の方では(アントニオ)ジョビナッツィがライコネンへの援護なのかセーフティーカーを待っていたのかわかりませんが、ずいぶんとピットインせずに最初のスティントを長く引っ張っていました。これに何台ものクルマが影響を受け、ケビンも前との差がぐっと縮まり、悪くない状況でした。

 そしてロマンと(ジョージ)ラッセルの接触によるSC導入。ここで上述の通り、フロントウイングにビニール袋が引っかかってしまう不運がありました。このせいでフロントのダウンフォースが抜けてしまい、1周ごとにクルマが受ける影響も違ったのでケビンも相当運転しづらかったと思いますが、よく頑張って走ってくれました。

2019年F1第15戦シンガポールGP ケビン・マグヌッセン(ハース)
ケビン・マグヌッセン(ハース)

 1回目と2回目のSC後の再スタートはなんとか持ちこたえてくれましたが、ミディアムタイヤを履いていたガスリーと(ニコ)ヒュルケンベルグに抜かれてしまいました。ケビンと同じハードタイヤを履いていたライコネンはさらに苦しんでいたようで、ペースが上がらず後続のクルマに抜かれ、最後には1コーナーでクビアトと接触。これで3回目のSCの出動となりました。フロントのダウンフォースが抜けている状態でハードタイヤを履いていて、3回のSCでタイヤ温度も下がってしまい、さすがにケビンはポジションを守りきれませんでした。

 その後はペースも上がらなかったのでソフトタイヤを履いていたロマンとポジションを入れ替え、ロマンがポイント獲得を狙いましたが最後はタイヤが保たず、入賞とはなりませんでした。

■対レッドブル戦略で判断ミスも、5戦ぶりのポイント獲得


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