F1第16戦ロシアGPでフェラーリは、自らのマネージメント能力が欠如していたことを露呈してしまった。
それは、レース中にシャルル・ルクレールとセバスチャン・ベッテルをチームオーダーによってコントロールできなかったことだけでない。レース後に行われたフェラーリの会見でも、チーム側とドライバーとの間で、言い分が異なっていたからだ。
レース後、フェラーリは予定していた会見を通常より10分早く開いた。しかも、場所は通常行われているフェラーリのホスピタリティハウスではなく、2つ隣にあるFOMのホスピタリティハウスを間借りして開かれた。出席者は予定通り、ルクレールとベッテルのふたりのドライバーに加えて、チーム代表のマティア・ビノットの3人だ。
多くの記者が質問したのは、レース前の取り決めがどうなっていたかで、それについてはこれまで報道されているとおりで、ベッテルが言うように「確かに取り決めはあったが、何か誤解があったかもしれない。それについては、今後、チームと話し合うつもりだ」というように、会見では灰色のままだった。
もうひとつ、注目を集めた質問が、ピットストップでの順位の入れ替わったことについてだ。チームオーダーがうまく行かなかったから、ピットストップで故意に順位を入れ替えたのかという質問に、ビノットは明確に否定した。
「セバスチャンを入れたのは、(ハミルトンの)アンダーカットを未然に防ぐためで、シャルルをステイアウトさせたのは、ハミルトンの様子をうかがうためだった」(ビノット)
ところが、この会見の直後にフェラーリが出したリリースで、ルクレールはこう述べるのである。
「正しいタイミングで順位を入れ替えることを狙い、セブ(ベッテル)がピットに入ったので、それを実行した」(ルクレール)
つまり、ピットストップによるポジションの入れ替えは、チームの指示だったことを示唆したのだった。