例年、鈴鹿戦ではメルセデスが圧倒的な強さを発揮していたものの、第13戦ベルギーGP以降のフェラーリも速さを増してきている。さらにレッドブル・ホンダは前戦ロシアGPでPU交換によるグリッドペナルティを消化し、日本GP戦に向けて準備万端。ホンダ製パワーユニットのスペック4は鈴鹿で性能を発揮できるだろうか。F1ジャーナリストの今宮純氏がF1第17戦日本GP鈴鹿の見どころを解説する。
—————————————
『鈴鹿王』メルセデス――。この5年間、ポールポジションから勝利を連続して奪い、そしてダブルタイトル制覇に向け邁進していった。日本GPプレビューのヘッドラインは毎年「絶対本命メルセデス」だった。そしてメルセデスは本命としての力強いレースをまっとうしてきた。
すでに今年もハミルトンはドライバーズV6確定ゾーンだ。2位ボッタスを73点、3位ルクレールを107点、4位フェルスタッペンを110点リード。5位ベッテルは前戦時点で128点離され事実上、“自力V”の可能性はほぼ消滅(日本GPを含め残り5戦・満点=130点)。前戦ロシアGPで彼のリタイアにはそういう重い意味があった。
まず『鈴鹿王』たるメルセデスからフォーカス。コンストラクターズV6決定条件は1-2フィニッシュ、第16戦ロシアGPにつづき今季9度目を達成できたら2016年と同様に鈴鹿で戴冠だ。しかしそれはかなり高い現実目標になってきた。
昨年の日本GP予選でセクター1はボッタス、2はハミルトン最速、3だけはフェラーリのキミ・ライコネンに及ばなかったもののハミルトンPP、ボッタス2番手を確保。セクタータイムだけでなくセクタースピードも最速で、コーナーとストレートのダウンフォース&ドラッグの“最適解設定”に仕上げられていた。だから強かった。
しかしロシアGPまでの時点で、メルセデスは低速コーナーが抜群でも中高速コーナーでライバル2強を引き離す強みが薄れた。そこがとても気になった。今週、「小規模アップデートを準備中」と言う彼らは目に見えないような細かな“スズカ・スペシャル”で新武装してくるのか……。
おそらくそれはハミルトンがリクエストしたものだろう。昨年セクター1でボッタスに劣った彼はよりシャープな回答性を求め、ストレートでいま最速のフェラーリに対抗するより、スプーンなど中速コーナーへの合わせこみを望んだに違いない(そこで昨年フェラーリは俊敏性を示していた)。
ハミルトン自身の鈴鹿ベストタイムは、17年の1分27秒230。今週ドライ条件であるなら<1分26秒台前半>がターゲットタイムと確信していたのだが、台風がらみの天候変化がきがかりに……。