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F1 ニュース

投稿日: 2019.10.09 11:52
更新日: 2019.10.09 13:37

《ホンダF1田辺TDインタビュー1》いよいよ日本GP鈴鹿。メルセデスとフェラーリとの差とPU開発体制の現在地

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F1 | 《ホンダF1田辺TDインタビュー1》いよいよ日本GP鈴鹿。メルセデスとフェラーリとの差とPU開発体制の現在地

 いよいよ今週末に開催されるF1第17戦日本GP鈴鹿。2015年にホンダがF1に復帰して5回目となる今年は、これまでの4年とは期待の高さが大きく異なる。トロロッソに加えてレッドブルへもパワーユニット(PU)を供給したホンダF1は、第9戦オーストリアGPで復帰後初優勝を果たし、第11戦ドイツGPで2勝目を挙げ、勝利の可能性をもって今年の鈴鹿を迎えることになる。ホンダF1の現場を率いる田辺豊治テクニカルディレクター(TD)に、就任2年目の今季について鈴鹿直前のロシアGPで話を聞いた。

──今年はこれまで2勝を挙げることができました。まずは田辺TD就任2年目、2019年シーズンのこれまでの成績をどのように感じていますか。

「そうですね、去年のトロロッソ加えて今年はレッドブルとホンダが組むことになり、みなさま、いろいろと期待して頂いたと思いますけど、今年は車体のエアロダイナミクス(空力)のレギュレーションが大きく変わっていて、そのあたりで車体がどうなるかなというのがひとつ不安要素としてありました。単純に去年までの勢力図が継続されれば、レッドブルもかなりいいポジションにいるはずだと思っていたんですけど(昨年4勝)、今年、蓋を開けるとやはり、そうそう簡単じゃないなと」

「開幕前のオフシーズンテストではメルセデスがかなりパフォーマンスを伸ばしてきている、フェラーリも速い、そしてレッドブルは去年までのそのトップ2に対するギャップよりも、大きなキャップを持ったかたちで今年、スタートすることになったと思っています」

「そういう意味で我々開発陣としてはレッドブルと組むことになったからと言って楽観視していたわけではないので、ある意味、悪い予想が当たってしまったというかたちになりましたけど、当然、我々もPUの開発プラン、スケジュールに従ってパフォーマンスアップ、信頼性アップに努めるなか、レッドブルも必死にトップ2とのギャップを縮めるような車体開発を進めてきて、そしてシーズン中盤、とくにオーストリアから全体のパフォーマンスが上がったなかで夏休み前までに優勝できましたが、トップ2とのギャップは縮まってきたものの、まだまだギャップはあると思っています」

──ギャップのあるなかで、メルセデス、フェラーリに勝つことができた。

「オーストリアでは外気温の影響(ヨーロッパの初夏の異常気温でライバルが冷却に苦しんだ)、そしてチーム、ドライバーのタイヤマネジメントで勝利を手にできた。ドイツでも雨のレースのなかでチームのストラテジーとドライバーの雨のなかでの安定した走りで勝つことができた。トップとの差がまだあるなかで、レッドブルとホンダがきちんと性能を発揮する、車体とPUのパフォーマンス、タイヤのパフォーマンス、そしてチーム戦略とドライバーの力が最大限発揮されて、すべてがうまく回ったなかでふたつ獲れたかなと思っています」

「今年の初めのときから考えると、夏までに2勝できたというのは、逆に言えば予想していなかったところではあります。開幕の時点ではトップ2とのギャップは大きい、それをいかに回復していくかというなかで、ギャップを詰めていくなかで勝利を得られたというのは、パフォーマンスがトントンになってきて勝ったねというのとは違うと思っています」

「去年、レッドブルは4勝していますが、去年のその位置関係が今年の始まりのときにはズレていて、そこからリカバリーしていったというのは我々にとって非常に大きな励みになりますし、チームにとっても新しくホンダと組んでどうなるのかと当然、思っていたはずですが、組んで良かったという形になっていると思います」

──それでも今年前半で2勝できた。我々メディア、そしてファンとしては次の後半戦は2勝、または3勝と期待してしまいますが、直近の第15戦シンガポールGP、第16戦ロシアGPを見ても、ライバルもまたアップデートを加えて速くなった。なかなか甘くはないなという印象を受けます。

「そうですね。夏までに詰めてきたギャップからフェラーリの位置づけがかなり変わって、ここ3戦、頭ひとつ抜け出たなと思っています。高速サーキットのスパ(第13戦ベルギーGP)とモンツァ(第14戦イタリアGP)に関しては前半戦の状況からも、フェラーリのストレートの速さとサーキット特性とのマッチングで強いだろうなと予想していましたが、実際にはやっぱり強かった。そして(シャルル)ルクレールが安定して結果を残すようにもなってきました」

「その後、低速コースのシンガポールで戦ってダウンフォースの状況を見て、高速2戦と低速1戦の3戦で現在の状況がわかるかなと思っていましたけど、そこでもやはりフェラーリが速かった。彼らも前半戦で明らかになった弱点をつぶし込んで後半戦に持ってきた。そこでそれまで詰めたギャップがまたひとつ、逃げられたかたちになっていると思います」

「ですので当然、レッドブルも我々も止まっているわけにはいかないので、彼らは車体の開発、我々はPUの開発、そして使い方を含めて戦闘力を上げていきますけど、おっしゃるように、早々簡単に追いつくとは、まったく簡単とはいえない状況ですね」

写真で振り返る『ホンダ優勝歴史的一日プレイバック 』
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、ホンダF1田辺豊治テクニカルディレクター

ホンダF1の現在の開発体制、現場と日本側のパワーユニット開発の進め方


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