「FIAは黄旗の規則を守らせることに厳格でなければならない。それはとても重要なことだ。幸いあのとき、コースの真ん中にマーシャルはいなかった。でも、もしかしたらバルテリ(・ボッタス)がコースの真ん中で止まっていて、マーシャルがいたかもしれない。黄旗はそれを示すためにあるのに、彼はそれを無視した」
F1第18戦メキシコGPの予選後、メルセデスが開いた会見でルイス・ハミルトンはそう言って、黄旗区間で減速を怠ったマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)を非難した。
黄旗区間での減速と追い越し禁止はモータースポーツの基本的原則である。しかし、ハミルトンのやや一方的な非難の仕方については、少し違和感を覚える。
それは、今年の第11戦ドイツGPでハミルトンも「あわや」という危険な状況を作っていたからだ。それはシャルル・ルクレール(フェラーリ)がクラッシュしたことで出動したセーフティカー中に、自らもコースアウトし、クラッシュしていた。このとき、ハミルトンがクラッシュしたすぐそばにはルクレールのマシンがあった。
セーフティカー(SC)が出動したら、コースは全区間黄旗状態となる。ウエットコンディションで路面が滑りやすかったかもしれないが、雨が強く降り出して滑ってクラッシュしたマシンを撤去しようとして出されたSCラン中に、コースアウト&クラッシュというのは、黄旗区間中の減速義務違反としてペナルティの対象となっていても不思議ではないアクシデントだった(編注/クラッシュした後、ピット入口のボラード外側からピットレーンに進入したという理由で、5秒のタイム加算ペナルティを受けている)。
ハミルトンは2011年のインドGPでも、パストール・マルドナド(ウイリアムズ)がエンジントラブルのためコース脇にとまって、コースオフィシャルが作業をするために黄旗が2本振られていたところで減速を怠り、自己ベストを記録し、3番手降格のペナルティを受けたという経験もある。