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F1 ニュース

投稿日: 2019.11.05 17:00
更新日: 2019.11.06 18:04

巧さを極めたハミルトン、2019年を象徴する走りで6冠達成【今宮純のF1アメリカGP分析】

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F1 | 巧さを極めたハミルトン、2019年を象徴する走りで6冠達成【今宮純のF1アメリカGP分析】

 2019年F1第19戦アメリカGPは、メルセデスのルイス・ハミルトンがワールドチャンピオンを獲得。予選日の苦戦から一転、巧みな走りで2位表彰台へと登っていった。F1ジャーナリストの今宮純氏が週末のアメリカGPを振り返る。 

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 達成感と虚脱感がまざりあったような表情のルイス・ハミルトン、いつもの表彰台とは違う自然な笑顔を見せた。喜びが顔のすみずみにまで満ちていた――。

 F1第19戦アメリカGP二番目のチェッカーフラッグが6冠王に振られた。チャンピオンの決め方としてここで勝って決めるのが王者にはふさわしいが、ハミルトンはバルテリ・ボッタスの4.148秒後だった。シーズン9度目のメルセデス・チーム『1-2フィニッシュ』、開幕5戦連続したあの強さを再び見せつけるかのように彼らは最強のフィナーレを飾った。

2019年F1第19戦アメリカGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2019年F1第19戦アメリカGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

 いったいどうしたんだ。土曜フリー走行でハミルトンは金曜日より0.7秒も遅かった。ガレージに閉じこもりセッティングを変えてもタイムは上がらない。予選Q1では2番手にきたもののトップはマクラーレンの新人ランド・ノリス、“COTAマイスター”がルーキーに及ばない異常事態だ。

 Q2開始、ボッタスより先に出てアタックしたタイムが他のドライバーたちによって次々に破られていった。さらなるアタックが必要だ。ところが19コーナーでマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)ら3台と“渋滞”の混乱に、あわや接触という場面になった。

 彼らしくないプレーのまま結局ミディアムタイヤで4番手にとどまる。それでも5回PPを奪ってきたハミルトンなのだからQ3にはソフトで一撃を決めるだろうと思えたが、ダメだった。自己ベストセクター・タイムをそろえられず、昨年の新記録1分32秒327より遅い1分32秒321で5番手。前の4人がすべて新記録を更新、しかも僅差の0.108秒間にひしめきボッタスが5回目のPPを。強気顔などあまりしない彼がハミルトン4回を超えるPPに薄笑いを浮かべた。

 精査すればハミルトンは低速8コーナーが連なるセクター3が遅く、マクラーレンのサインツ以下の7番手。このエリアで絶対最速を誇っていた『ミスターCOTA』の失速は解せない。まったく意外だ。本人は「ラップをまとめられなかった」とルーキーみたいなコメント。見せ場もなくCS中継で流れたのもたった10秒だった。

 予選ワースト5番手は17年シンガポールGPを思い出させた。バンピー路面に手を焼きそれを言い訳にしたあのときのことを。今年のコース状態はまったくあのひどい凸凹にそっくりで、応急工事対策がなされたようだが点在するバンプは見るからに嫌らしい……。しかし、そのシンガポールGPで5番手スタートから最速ラップを叩きハミルトンは勝ってみせている。個人的な記憶の中でそれがよみがえった。

 タイトル・プレシャーに縮むような彼じゃない、5番手だろうと“レーシング・スイッチ”をONするか……。故ニキ・ラウダがそうだったようにハミルトンは土曜の夜、心をすべて入れ替えたのではないか。

■あっという間に反撃の“橋頭堡”を築いたハミルトン


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