元F1ドライバーのジャック・ビルヌーブは、2021年シーズンより導入される上限1億7500万ドル(約191億円)の厳格な予算制限制度について、強く反対の考えを表している。
この予算制限は、トップチームが問題解決やイノベーションに資金を投じることで、“資金力によって成功を買う”ことを防ぐためのものだ。F1上層部は、支出を節制することによって、競争の場が公平になり、接戦のレースが展開されることを期待している。
しかしビルヌーブはそれに否定的な意見を持っている。彼はメルセデスやフェラーリといったチームについていくのに苦戦しているウイリアムズのような小規模チームに有利なように、ルールを歪めるのは間違えていると語っている。
「助ける価値のない小規模チームを助けるというのはどういう考えなのだろうか?」とビルヌーブはアメリカGPの週末にオースティンで『Journal de Montreal』に語った。
「ウイリアムズのようなチームが、メルセデスやフェラーリと同じくらい速くなる権利があるというのだろうか?」とビルヌーブは続けた。「答えは間違いなくノーだ」
「それはまったくの社会主義だと私は考える」とビルヌーブは息巻いた。「F1は社会主義以上のものだ。この状況下では、資金力のないチームが、シートを買えるドライバーを起用し続けることができるだろう」
ビルヌーブは1997年にウイリアムズでタイトルを獲得しているが、独立系コンストラクターであるウイリアムズが置かれている苦境について、ほとんど同情心を持ち合わせていないようだ。
ロバート・クビサとジョージ・ラッセルはグリッド最後尾で低迷しており、ウイリアムズは2019年第19戦終了時点で1ポイントしか獲得できていない。
「この数年の彼らの仕事ぶりから正直に言えば、彼らは(他のチームとは)違うカテゴリーにいるようなものだ」とビルヌーブは主張した。
カナダ出身48歳のビルヌーブは、導入される予算制限が、少なくとも許容される支出レベルにおいてはウイリアムズの助けになることはないだろうと考えている。
「1億7500万ドル(約191億円)を使うのはトップ3チームだけだ」とビルヌーブは語った。「その他のチームはその上限に達することはないだろう」
またビルヌーブは、新レギュレーション導入までに1年の待機期間があるため、トップチームが望めば、彼らは抜け穴を探すことができると指摘した。
「(メルセデス、フェラーリ、レッドブルは)2021年に備えるために、2020年のうちに10億ドル(約1089億円)を使うことだってできる」とビルヌーブは語った。