F1最終戦アブダビGPでは2位表彰台を獲得したレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンはスタート直後からパワーユニット(PU/エンジン)に異変を感じたという。不満を募らせるフェルスタッペンとピットとのやりとりを無線で振り返っていく。
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ポールポジションのルイス・ハミルトン(メルセデス)が最終戦のホールショットを奪い、フェルスタッペンが2番手をキープしたままターン1へ飛び込んでいった。しかしバックストレートで早くもフェラーリのシャルル・ルクレールにオーバーテイクを許し、後方ではアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)もマクラーレン勢に抜かれそうになっていた。
フェルスタッペンはスタート直後からパワーユニットに異変を感じていた。
フェルスタッペン:エンジン回転数がすごく低い。なんだこれは?
これに対し2番手に浮上したフェラーリはそのポジションを守り切るべくプッシュしていた。
フェラーリ:プランAで行く。できるだけプッシュする必要がある。
フェルスタッペンがギャップを縮めてきたのを見てアンダーカットを警戒し12周目というかなり早いタイミングでルクレールがピットに飛び込み、ソフトスタートのセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)も同時にピットイン。大幅にタイムロスを喫して中団グループ勢の後方に回ってしまったことでレッドブル・ホンダにとってはかなり楽な展開になった。
フェルスタッペン:タイヤはまだOKだ。走り続けるよ。
レッドブル:了解、良い仕事をしているよ。このまま走り続けろ。
首位を走るハミルトンもタイヤはまだまだ大丈夫だと報告する。
メルセデス:我々は(第1スティントを)少し引き延ばす。
ハミルトン:リヤはまだOKだよ。
メルセデス:了解。
レッドブルはルクレールのピットストップに対してすぐに反応して逆転を狙うのではなく、第1スティントを引っ張って第2スティントに勝負を賭ける戦略に出た。22周目、フェルスタッペンはリヤタイヤがタレ始めたと報告する。
レッドブル:この戦略で良いか確認だ。
フェルスタッペン:あぁ、構わないよ。リヤタイヤが少しキツくなってきた。
レッドブル:了解。
その翌周には「また少しマシになってきたよ」とペースを戻し、25周目まで引っ張ってピットイン。ルクレールとのギャップが広がったのは想定通りだったが、想定外だったのはパワーユニットの挙動に異変が起きてしまったことだった。
その異変はピットアウトしてすぐに発生し、セクター3に入ったところでフェルスタッペンが無線でトルクの出方の異常を訴える。
レッドブル:LEC(ルクレール)は5秒前方だ。オーバーテイクボタンを押して2秒ホールドしろ。
フェルスタッペン:コーナーの出口でものすごいラグだ!
レッドブル:OK、チェックする。
フェルスタッペン:何かがおかしいよ。
レッドブル:エンジン11、ポジション8。
フェルスタッペン:変わらないしエンジンブレーキもフィーリングが変だ。
レッドブル:了解、調査中だ。