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F1 ニュース

投稿日: 2019.12.19 07:30
更新日: 2019.12.18 11:03

ホンダ田辺TD 2019年F1総括(2):事前確認の強化でトラブルが減少「上を目指すための開発ができるようになった」

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F1 | ホンダ田辺TD 2019年F1総括(2):事前確認の強化でトラブルが減少「上を目指すための開発ができるようになった」

 ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターが、レッドブルとトロロッソの2チームとともに戦ったホンダの5年目のシーズンを振り返った。

──2019年シーズンのパワーユニット(PU/エンジン)を振り返りたいと思います。まずスペック1は、どのようなパワーユニットだったのでしょうか。
田辺豊治F1テクニカルディレクター(以下、田辺TD):
基本的には2018年の最終スペックだったスペック3をさらに向上させた仕様です。そのスペック3をベースに2019年のスペック1が開発され、(第4戦アゼルバイジャンGPから投入された)スペック2は、スペック1で不安があった信頼性を向上しただけでなく、スペック1よりも信頼性が向上した分、ICE(内燃機関)のパフォーマンスも上げられるような仕様になっていました。

 そして、スペック3で改良されたターボが入りました。そして、スぺック4でICEが改良されました。さらにスぺック4投入時には燃料も新しくなって、性能アップにつながったと思います。2018年のPUはスペック1とスペック2に比べて、スペック3でそれまでより大きく性能を向上させた仕様になっていましたが、2019年はスペック3だけでなく、スペック4でもステップアップできたと思っています。

──信頼性について、お尋ねします。2018年は年間で8基を投入しましたが、2019年は例えばレッドブル側では5基でとどまりました。しかも、その中にはトラブルが理由ではなく、戦略的な観点から新しいパワーユニットを投入したものもありました。この数字をどのように評価しますか。
田辺TD:
戦略的とはいっても、グリッドペナルティのことを考えれば、変えなくてもいいのなら変えないほうがいい。つまり、本来であれば、採らなくてもいい戦略だったという言い方もできる。だから、そこはレギュレーションの規定数の中で年間をしっかり戦うというのが当然の目標だし、やるべきことだと思っています。

──2020年にさらに上を目指すためには、その辺りが重要になりますね。
田辺TD:
ここからは、もう楽な戦いはない。グリッド1つでもギリギリの戦いになってくる。そういう意味では、パワーユニットのトラブルによる成績への損害をチームに与えないような運営をしていかなければなりません。

──とはいえ、現場でのトラブルは大きく減ったと思います。
田辺TD:
すべて失敗に学んでいるということです。いままでのやり方ではカバーできなかったことがあり、それでサーキットで走らせてみたら、トラブルになるということが散見されました。

 例えば、2018年のスペック3のオシレーション(共振)のように、いままでのスペックでは出なかった問題が、新しいスペックになって、違う世界に入っていったら出た。そういう経験がHRD Sakura(栃木県の本田技術研究所)とHRD MK(イギリスの拠点・ミルトンキーンズ)の連携を一層強くし、ダイナモを使った事前確認を強化するきっかけとなりました。

──性能面についてはいかがですか。
田辺TD:
ホンダはこれまで数年間、開発してきて、いろいろ見えてきた。壊れたモノを直すという時間の使い方から、上を目指すための開発に時間を使えるようになってきた。そして、2019年はそれなりに(ライバルに)近づいてきました。

 ただし、これからは重箱の隅をつついていくような開発となるでしょう。重箱の隅をつついたぐらいで追いつけるのかと言われるかもしれませんが、重箱の隅でもチリも積もれば、です。もちろん、現在のパワーユニットにはまだ開発できるエリアが残って、ライバルがさらに大きく前進してくるかもしれないので、われわれとしても、重箱の隅をつつきつつも、新しいものを投入できるような開発を続けたいと思っています。

ホンダ田辺TD 2019年総括(3)に続く


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