ホンダF1の山本雅史マネージングディレクターが、レッドブルと初のタッグを組み3勝を挙げた2019年シーズンを振り返った。
──2019年から山本さんはモータースポーツ部長からマネージングディレクターとして、ホンダのF1活動を指揮しました。2018年との違いを教えてください。
山本雅史マネージングディレクター(以下、山本MD):まずF1に集中できるということです。2018年は(モータースポーツ部長として)いろんなカテゴリーのレースを見なければならなかったので、F1に全戦来ることができませんでした。出席できたのは、だいたい13戦か14戦。6割ぐらいでした。
それが、今年は初めて皆勤賞で(F1に全戦)出勤しました。2019年はトロロッソだけでなく、レッドブルにもホンダはパワーユニット(PU/エンジン)を供給し、2チーム4台体制となり、現場で私がやるべき仕事が増えました。
今回(2019年の最終戦となったアブダビGP)も、木曜日にフランツ(・トスト/トロロッソ代表)とミーティングを行いました。田辺(豊治F1テクニカルディレクター)が行っているテクニカルな部分以外のチームからのリクエストは私が聞いて、田辺へうまく橋渡しができたと思います。
レッドブルに関しては、クリスチャン(・ホーナー代表)が現場監督的な役割を担っているので、田辺とミーティングすることが多く、私はレッドブルとトロロッソを統括しているモータースポーツアドバイザーの(ヘルムート・)マルコさんと話し合う機会が多かったですね。
──F1では、さまざまなミーティングが日常的に行われていますよね。
山本MD:そうですね。ホンダがパワーユニットを供給しているチーム以外の人たち、たとえばFOM(フォーミュラ・ワン・マネージメント)の方たちともミーティングしました。チェイス・キャリー(F1会長兼CEO)から『シーズン開幕前にイギリス・ロンドンでコンストラクターズ会議があるから、ホンダも是非参加してほしい』というメールをいただき、ホンダの代表として私は初めてコンストラクターズ会議にも参加しました。
そこでFOM(F1)が将来に関して、どのようなビジョンを持っているのかを確認できただけでなく、ほかのチーム代表がそれについて、どのような考えを持っているかを知ることもできました。FOMとの関係においても良い効果が出ていたと思いますし、そういった意味で、今年私がF1に全戦参加したことは、ホンダにとってあらたな一歩に繋がったと思います。
──今年はホンダにとってレッドブルへもパワーユニット供給を開始しました。パートナーとして1年間戦ってみて、レッドブルがどのようなチームだったと感じましたか。
山本MD:レッドブルというチームに関しては外からですが、2018年までも見ていたし、2019年からパートナーを開始する契約を締結した後はミーティングを行い、ファクトリーにも行っていたので、2019年の1年間戦ってというよりも、その前にどんなチームであるかはわかっていました。
そして、実際に一緒に仕事を始めてみて、予想していた通りのトップチームでしたし、仕事を進めていく中で、『このチームとだったら、さらにすごいことができるんじゃないか』と、我々ホンダのスタッフたちを興奮させてくれるチームでした。
レッドブルやトロロッソと仕事してみて感じることですが、両チームともテクニカルな面でもマネージメントの面でも非常にシンプル。勝つことへのこだわりに関してはホンダと同じで、ピュアに勝つための戦いに行けるという意味ではとても組みやすいチームです。