2019年、ハースF1チームで4年目のシーズンを終えた小松礼雄エンジニア。シーズン中は厳しいレースが続きましたが、チームの苦労や問題点、レース戦略やドライバー事情など、小松エンジニアには様々なテーマでコラムを書いていただきました。
さてシーズンオフの今回は、サマーブレイク中のコラム番外編に続いて、シーズン中にはなかなか聞くことのできないような質問にお答えいただく質問コーナーの前編となります。レースに関係あることもないこともひっくるめた、いろいろな視点からの質問に対する小松エンジニアの考え方を、ぜひご覧ください。
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■香川県 picoさんからの質問
Q:移籍できるとすればどのチームに行ってみたいですか?
小松礼雄エンジニア(以下、小松エンジニア):つまらない答えになってしまうかもしれませんが、ハースに来た理由が『新チーム作り』で、それにやりがいを感じているので、今のところ行ってみたいチームというのは特にないです。今まで比較的大きなチームや中規模のチームも経験してきたので、今はハースという小さいチームを無駄の少ない戦える集団にするのが目標です。
あとは僕はチームよりも人を重視するので、しいて言えば尊敬しているジェームス(アリソン/メルセデスのテクニカルディレクター)の下でまたやれる機会があればとは思います。
■千葉県 イナミさんからの質問
Q:小松エンジニアは仕事でどんなケース、シチュエーションで燃える(やる気が出る)のか知りたいです。タイトなスケジュール、タフな週末を過ごしておられると思いますのでモチベーション管理の参考にさせていただきたいです。
小松エンジニア:どんなケースで燃える(笑)か? 雨の予選とか、みんなにとって状況を読み切るのが難しい時かな。そういう時に良い判断を下すことができれば、クルマやドライバーの実力以上の結果を出せる可能性があるからです。
通常でも、すべてのことがデータ上で明らかにわかって完璧に予測がつくという状況はほとんどありません。ですから自分が今まで培ってきたものをすべて使って、データには出てこない隙間を埋めていき、短時間で結論を出さなければいけません。これがレース現場のエンジニアとしての醍醐味だと思います。
モチベーション管理という面では、良い仕事をするためにはオン・オフをはっきりとつけることが僕には欠かせません。仕事はいつでも山ほどあるので、『これで終わり』ということはないです。
でもだからといってずっと仕事をしていてはどうしても効率は落ちますし、質も落ちます。だからある程度のところで僕はきっぱりとオフにしてしまいます。
オフの場合は、イギリスにいる時は家族と過ごしたり、出張先では限られた時間でも自転車に乗ったり走りに行ったりしています。しっかりとオフを作れば新鮮な気持ちでまた仕事を再開できます。
とはいえ冬のテストや開幕戦の辺りはどうしても長時間労働で寝不足になりがちです。でも常にそういう状態で仕事をしているわけではないので、終わりが見えているからやりきれるというところは大きいと思います。凄い人の自伝やドキュメンタリーでは睡眠を普段から3時間ほどしかとっていないないなんて書いてあったりもしますが、とても僕にはマネできません。