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F1 ニュース

投稿日: 2020.01.10 07:30
更新日: 2020.01.09 18:30

F1技術解説レビュー フェラーリ:稚拙な戦略ミスや信頼性で本来の実力を出せなかったSF90

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F1 | F1技術解説レビュー フェラーリ:稚拙な戦略ミスや信頼性で本来の実力を出せなかったSF90

 2019年のプレシーズンテストで圧倒的な速さを披露したフェラーリSF90。しかし開幕戦オーストラリアGPでは、メルセデスにコンマ7秒もの大差をつけられてしまう。車体前部のダウンフォース不足が最大の原因だったが、フェラーリがそれを何とか解決するには、夏休み明けを待たなければならなかった。そしてシーズン終盤には、パワーユニット(PU/エンジン)への疑惑も持ち上がった。

■マシンコンセプトは独創的だったが……

 一見すると2017、18年型マシンに似通っているSF90だが、開発コンセプトは過激なほどに変更されている。それは三角形のエアインテークが、ライバルたちよりはるかに薄くなっているのを見ても明らかだろう。SF90の開発責任者たちが最も重視したのは、ドラッグの軽減だった。しかしそれは当然ながら、ダウンフォース不足の危険を常に伴う賭けでもあった。

 そのコンセプトに従って、彼らはフロントウイングも外側に向かって落ちて行く形状にした。フロントウイング自体の発生するダウンフォースよりも、乱流を外側に逃がすアウトウォッシュ機能を優先したのだ。

 しかし、車体前部のダウンフォース不足は、開発陣が覚悟していた以上だった。そのため彼らは前後のバランスを取るために、リヤ側のダウンフォースも減らさざるを得なかった。しかしそのために、ただでさえ熱の入りにくい2019年型ピレリタイヤは、ダウンフォースの少ないフェラーリSF90ではいっそう作動温度域に入りにくくなってしまったのである。

■てこずった軌道修正

 開幕後のフェラーリは、さまざまな軌道修正を試みた。最初の大幅アップデートは、第5戦スペインGPだった。ここではリヤウイングやエンジンカウルに加え、フロントウイング翼端板も大きく形状変更された(白矢印参照)。しかし効果は限定的で、フロントのダウンフォース不足によるアンダーステア傾向が改善されることはなかった。

 6週間後の第8戦フランスGPでの改良版投入も、戦闘力向上には結びつかなかった。フロアの切り欠きにデフレクターを加え、ディフューザーも設計変更されたが、風洞実験の効果が再現できず、予選以降は旧型に戻された。

 さらに夏休み直前の第12戦ハンガリーGPでは、バージボード周りの空力がいっそう複雑な形状となった。ダウンフォース増大を狙ったものだが、当然ながらドラッグも増える。とはいえフェラーリはこの時期にようやく、独自コンセプトにこだわる姿勢を捨てつつあった。そして彼らの努力は、夏休み明けからの快進撃に結実する。


この記事は国内独占契約により 提供の情報をもとに作成しています

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