2020年シーズンのF1は、3月13〜15日のオーストラリアGPで開幕する。史上最多の22戦が行われる2020年シーズンは、ルーキードライバーがニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)のみ。ルノーを離脱するニコ・ヒュルケンベルグに代わってエステバン・オコンが加入するが、ラティフィとオコン以外にドライバーラインアップの変更はない。
技術規則にも大きな変更点はないが、2021年に新たな規則が導入されることが決まっているので、2020年はどこかの段階で2021年型マシンの開発へ力を入れなければならない。
2014年にパワーユニットが導入されて以降、メルセデスとルイス・ハミルトンが強さを見せているが、この2020年シーズンに注目すべきことは何だろうか。レッドブル・ホンダの活躍、混戦の中団勢のゆくえ、2021年型マシンへの開発移行時期など、複数の注目ポイントを挙げた。
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(1)ルイス・ハミルトンを倒せるか?
2019年シーズン、ハミルトンは11勝を挙げて6度目のドライバーズタイトルを獲得した。チームも6年連続でコンストラクターズ選手権を制しており、勢いに乗るハミルトンとこのチームを止めることは容易ではない。2020年は技術規則に関する大きな変更がないので、メルセデスに打ち勝つのは難しい状況が続くだろう。
(2)フェラーリではどちらのドライバーが多く勝てるか?
4度のF1チャンピオンであるセバスチャン・ベッテルにとって、2019年シーズンは真のチャレンジだった。自分のドライビングは標準以下だったとベッテルは話しており、それを表すかのように、2019年はポールポジションが2回、優勝はわずか1回だった。
一方チームメイトのシャルル・ルクレールはポールポジションを7回獲得したが、彼自身やチームのミス、メルセデスのペースが大抵フェラーリを上回っていたこともあって、優勝は2回にとどまった。
(3)ホンダはメルセデス&フェラーリとの差を縮められるか?
2019年、ホンダは2006年以来となるF1での優勝を3回(オーストリア、ドイツ、ブラジル)飾った。ホンダはパワーユニット(PU)の面で大きな進歩を遂げたが、彼らはシーズンを通してメルセデスとフェラーリに対して安定した戦いを繰り広げることができるだろうか? また、この3チームにルノーはどれだけ近づけるだろうか。
(4)フェラーリとレッドブル・ホンダは何勝できるか?
2019年はメルセデスが15勝を記録したのに対して、フェラーリとレッドブル・ホンダはそれぞれ3勝ずつ、合計6勝を挙げた。フェラーリの勝利数が落ち込んだのは、上述の通りチームやドライバーのミス、メルセデスの競争力がフェラーリよりも高かったことだ。またレッドブルが競争力を手にしたのはシーズン後半だった。2019年よりも勝利数を増やすには、両チームともそれぞれの抱える問題を解決する必要がある。
(5)メルセデス、フェラーリ、レッドブルに次ぐ『ベスト・オブ・ザ・レスト』は?
2019年は最終的にマクラーレンとルノーが他の中団チームに差をつけたが、中団勢の差はしばしば非常に小さく、残りの中団グループを構成するトロロッソ、レーシングポイント、アルファロメオ、またハースさえもが中団グループのトップになることがあった。この接戦は2020年も続くのか。またマクラーレンやルノーを僅差で追い抜くチームは出てくるだろうか。
(6)ハースは復活できるか?
2018年は93ポイントを獲得してコンストラクターズランキングで5位に入ったハースだが、2019年の獲得ポイント数はわずか28ポイントで、ランキングは9位。チームは、なぜマシンがこれほど一貫性のない動きをするのかを解明するのにシーズンの大半を費やした。ハースにとってこれ以上悪くなりようがない。彼らの予想では、2020年はもっとよくなるだろうという。
(7)史上最多のカレンダーにどう対処する?
2020年シーズンは史上最多の22戦が行われる。昨年より1戦増え、オランダGPが1985年以来の復帰を果たすほか、ベトナムGPが初開催される。テスト日数が減らされているが、それでもクルーは家を離れて多くの移動を行わなければならない。
ファーストクラスを使い、家にもより頻繁に帰ることができるドライバーたちとチーム上層部にとってはそれほど大したことではないだろう。しかしそのほかのスタッフには余分な負担がかかることになる。
(8)チームはいつ2021年型マシンの開発を始めるのか?
2021年は技術レギュレーションの大規模な改訂が行われるため、チームは2020年マシンの開発をどこかで停止して、2021年型マシンの開発にリソースを使うことを決断しなければならない。これは両方のマシンの開発を同時に行う資金を持たない小規模チームに特に当てはまる問題だ。