2020年シーズンよりF1カレンダーに復帰するオランダGPの開催に向けて、舞台となるザントフォールト・サーキットでは改修工事が進められている。サーキット設計企業『ドローモ』の代表を務めるヤルノ・ザフェリは、改修したザントフォールトのコースレイアウトは最も勇敢なドライバーたちにふさわしいと語っている。完全に新しい特徴を持つため、各チームのシミュレーターで間に合うように再現することができないのだという。
「各チームは生データを持っているが、サーキット全体のデータは持っていない。我々はそうしたデータを社内でしばらく保管することになる」とザフェリはオランダのメディア『Formule 1』に語った。
「なぜなら彼らに始終シミュレートするようなことをしてほしくないからだ。つまり驚きの要素が入るということだ」
ザントフォールトは1948年から1985年の間に34回のオランダGPを開催してきた。最多優勝はジム・クラークの4回で、最後の勝者となったのはマクラーレンのニキ・ラウダだ。
大規模な改修とグレードアップが行われたザントフォールトは、今年35年ぶりにF1カレンダーに復帰するが、これはマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)の人気が急上昇していることが大きい。
だが現在のドライバーたちは、クラークやラウダらが走行したコースとはかなり異なるコースに対峙することになる。改修された急カーブは、コースの元の設計者であるジョン・フーゲンホルツに、新しいバンクのある最終コーナーはインディ500を2度制覇した元レーシングドライバーのアリー・ルイエンダイクに敬意を評して名前がつけられている。
「我々は歴史的な場所を数多く変更し、コーナーを作っている。F1ではこの数十年見られていないものだ」とザフェリは『De Telegraaf』に語った。
「このプロジェクトには最大のリスクがつきまとう。我々や、F1上層部、またその他の関係者全員にとってもそうだ」
「我々のシミュレーションでは、ドライバーはターン2をフルスピードで通過できる。その後は見ものになる。ドライバーはフーゲンホルツ・コーナーへ向かう。すり鉢型のコーナーのスロープの勾配は最大で18度を超えるのだ。これは本当に勇敢なドライバーのためのサーキットになるだろう!」
ザフェリの説明によると、劇的な変更が行われたのは、現代のF1マシンでは古いレイアウトでオーバーテイクをするのが難しいというドライバーの懸念を解消するためだったという。
「ドライバーたちは、いかにしてこれらのコーナーに対処するべきか、どこで追いつけるか、ということに興味を持っている」
「多くの人々が懐疑的になるだろう。“ザントフォールトはオーバーテイクができないサーキットだ”と言っているのを耳にする。だが、それを変えるためにこそ我々が呼ばれたのだ」