F1カレンダーのこれまで以上の拡大によってチームのスタッフに対する負荷が増大し続けていることへの懸念から、チームの責任者たちは抜本的な解決策の検討を迫られている。
2020年シーズンには過去最大の22レースが開催されるが、その数は今後さらに増えるとみられている。トロロッソ・ホンダのチーム代表を務めるフランツ・トストは、スタッフが燃え尽き症候群に陥ってしまわないためにも、今後はレースごとのローテーション制を導入するかもしれないと話した。
「22レースはもはや明らかに限界だろう」と、トストはアメリカのモータースポーツ情報誌『RACER』に対して語った。
「今後さらに増えるようなら、どのチームもメカニックやエンジニアなどのスタッフをローテーションさせる必要が出てくると思う。そうしなければスタッフの負荷が大きくなりすぎる」
しかしトストは、少なくとも2020年シーズンについてはトロロッソ・ホンダがローテーション制を採用することはないと明かした。
「我々はまだ体制を変えていない。今年は昨年よりも1レース多いだけで、年間のスケジュールは昨年とほぼ同様だ」
「シーズン全体で1レース増えるが、ローテーションを前提とした体制を敷く必要はない。2019年シーズンは3月17日に始まって12月1日に終わった。2020年は3月15日に始まって11月29日に終わる予定だ。大した違いはない」
先日FIAのジャン・トッド会長は、F1の関係者はカレンダーの拡大による負荷の増大に不満をこぼすのではなく、F1で働いているということをありがたく、光栄に受けとめるべきだと発言し、物議を醸した。
トッドは「彼らに愛する家族がいるとしても、こうした状況を理解してくれるはずだ。それに一生続くわけでもない」と述べ、働き過ぎてしまったスタッフは、最後にはただ辞めていくだけだろうとも示唆した。
だがトストは、安定したチームを成長させ、それを維持することがF1で成功するための大切な要素である以上、主要メンバーが離れてしまうような事態は避けたいという。
「バイチェスターの空力部門も良い体制が整ってきた。F1で競争力を高めるためには、あらゆる部門が向上しなければならない」
「それは設計部門から始まる。スターティンググリッドに届くマシンは、少しでも軽量化されていることが望ましい。そうすれば重量配分においてさまざまな可能性が広がるからだ」
「そしてパーツの進化だ。特に空力に関しては、設計も製造も進化できる方法を考える必要がある」
「チームのオペレーションについては、ピットストップ戦略を改善すべきだ。そしてレース戦略。我々はほとんどの局面で正しい決断をしてきたと思う」
しかし2019年のコンストラクターズランキング6位と同等以上の成績を狙うチームにとって、現状維持という選択肢はない。
「もう一歩前進するために、我々はあらゆる部分を少しずつ向上させる必要がある。すべての部門が作業内容を向上させてよりよい解決策を見つけ出すことができれば、我々は競争力が高くて他のチームを倒せる完璧なパッケージを手にすることができる」