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F1 ニュース

投稿日: 2020.02.07 19:45
更新日: 2020.02.07 19:51

プレッシャーもプラスに。レッドブル・ホンダにはタイトル争いの準備ができている/海外ジャーナリストF1特別コラム

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F1 | プレッシャーもプラスに。レッドブル・ホンダにはタイトル争いの準備ができている/海外ジャーナリストF1特別コラム

 アストンマーティン・レッドブル・レーシングとタッグを組んだ2019年、ホンダF1は大きな進歩を遂げて、マックス・フェルスタッペンが3勝を挙げた。レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコ博士は『シーズン6勝以上』を2020年の目標として掲げており、タイトル争いを視野に入れている。

 フェラーリや時にはメルセデスを凌ぐパフォーマンスを示したホンダF1について、ヨーロッパではどのような評価が下されているのだろうか。海外ジャーナリストの意見を聞いてみたい。

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 2019年、ホンダは大きな進化を果たし、F1界でいうところの『勝者のサークル』にようやく入ることができた。グランプリでの優勝は、2006年第13戦ハンガリーGP以来、実に13年ぶりのことだった。しかもジェンソン・バトンによる当時の勝利は、目まぐるしく変わる天候やライバルたちの自滅に助けられた部分が大きかった。それに対し昨年のマックス・フェルスタッペンの優勝は、いずれも純粋なパフォーマンスのたまものだ。

 確かに第11戦ドイツGPは、雨の助けを少し借りたものだった。しかし第9戦オーストリアGPと第20戦ブラジルGPは、レッドブルとホンダのコンビネーションが間違いなく最強だった。さらに言うならマックスがもう少し頭を冷やした走りができていたら、第18戦メキシコでも勝っていた。そしてフェラーリがとんでもない速さを見せた第13戦ベルギーGPでも、決勝レースではシャルル・ルクレールと十分に優勝争いができていたはずである。

2019年F1第9戦オーストリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2019年F1第9戦オーストリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、ホンダF1田辺豊治テクニカルディレクター

 私がF1の仕事を始めたのは1988年からで、当時のホンダは『成功』と同義語だった。マクラーレンと組んでライバルたちを散々に蹴散らしたあの強さには、称賛を通り越して呆れるほどだった。2000年代に復帰してからのホンダも健闘したが、あの頃ほどの圧倒的な技術的優位はなかった。

 とはいえホンダのブランドイメージは今も健在であり、だからこそ2015年の復帰以来、1勝を上げるのに5年もかかったことには驚きを禁じえない。3年間続いたマクラーレン・ホンダ時代は、期待が大きかった分落胆もひどかった。しかし2018年のトロロッソとの新たなパートナーシップにおけるホンダのパフォーマンスを見た我々は、あの3年間の低迷が100%ホンダのせいばかりではなかったことを遅まきながら理解した。

 だが十分な技術的な準備もできないまま、復帰にゴーサインを出したホンダ上層部の罪は重い。その際マクラーレンの言いなりになって車体優先の設計を強いられたことも、開発部門を大いに苦しめた。そんな状況で、2年目以降も彼らは性能向上よりもネガを潰すことに専念せざるを得なかった。

 さらにいえばパートナーとの確執をあえて公表せず、言い分けもしないという実に日本的なホンダの方針も、結果的に彼らの評判をひどく傷つけることになった。フェルナンド・アロンソは口を開けばホンダの悪口を言い、マクラーレン上層部もそれを許すだけでなく、自らの責任逃れもあって積極的に後押しさえしていた。2年目以降のマクラーレンとホンダの関係は、もはや修復不能だったのである。

2017年F1第17戦アメリカGP フェルナンド・アロンソ(マクラーレン・ホンダ)
フェルナンド・アロンソがドライブする2017年型マシン『MCL32』


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