ホンダF1の2020年が始まった。バルセロナでのウィンターテストには、HRD Sakuraで開発の陣頭指揮を執った浅木泰昭センター長、山本雅史マネージングディレクターも日本から駆けつけ、初日から詰めている。
セッションが始まった午前9時。現場の要である田辺豊治テクニカルディレクター(TD)は、レッドブルガレージ内のいつもの位置に付いた。今年のテストでは隣のガレージをアルファタウリが占め、頻繁に両チームを行き来する田辺TDには理想的な配置となった。
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がほどなくコースインした一方で、ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)は出る気配がない。田辺TDはすぐに、アルファタウリのガレージに向かった。
FIAがテストも管轄するようになって、これまでガレージを隠していた仕切り板が禁止された。丸見えのガレージをのぞくと、アルファタウリの新車『AT01』はまだ整備台に乗ったままだった。田辺TDによれば「パワーユニット(PU)側の問題」だったのとこと。具体的な内容までは明かしてくれなかったものの、「信頼性にかかわるようなものでは、まったくない」と言っていた。
実際、約20分後には走り出し、そこからは順調に周回を重ねて行った。午後6時までに115周をこなし、15台中5番手タイム。一方のフェルスタッペンは最多の168周を走破し、4番手で初日を終えた。
「オフの間に信頼性を含めてクルマを理解するには、まずは走らないとどうしようもない。その意味では今日は、いいスタートが切れたと思っています」と田辺TD。セッション後、立て続けのミーティングを2時間以上もこなしてから取材に応じてくれた田辺TDの言葉からは、少しばかり安堵の雰囲気も感じられた。