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F1 ニュース

投稿日: 2020.03.09 11:23

アルファタウリはレッドブルの技術を多数活用。育成チーム脱却で中団争いをけん引するか/2020F1合同テスト総括(4)

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F1 | アルファタウリはレッドブルの技術を多数活用。育成チーム脱却で中団争いをけん引するか/2020F1合同テスト総括(4)

 スペイン・バルセロナで行われた2回のプレシーズンテストを終え、いよいよ開幕まで秒読み段階に入った2020年のF1。計6日間のプレシーズンテストでは各チームの勢力図もおぼろげながら見えてきた。今回はシリーズに参戦する10チームからテストで気になったチームを複数ピックアップし、テストの結果を踏まえながらシーズンの展望を予測する。連載第4回はトロロッソから名称が変わり、マシンカラーも一新されたアルファタウリだ。

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 レッドブルは企業戦略により、14年続いたスクーデリア・トロロッソというチーム名を、2020年からスクーデリア・アルファタウリに改めた。

 従来の“トロロッソ”とはレッドブルをイタリア語に訳したもので、車体にロゴを描いて宣伝する商品は、基本的に世界中で知名度のある同社のエナジードリンクだった。

 対してアルファタウリはレッドブルが手がけるファッションブランドであり、まだまだ世界的な知名度は低い。これをチーム名とするのは、同ブランドの世界展開を図りたい狙いがある。

 つまり、宣伝ツールとして意味合いが異なる。今後は同じ商品ではなく、まったく別分野のアピールをこのチームは行なうことになるのだ。

 アルファタウリのブランド名が世界中で浸透するかどうかは、レッドブルがF1で勝つかどうかには一切関わりがなく、どれだけこのチームが高い成績を残せるか、スポットライトを浴びられるかにかかっている。

 ボディペイントも昨年までのレッドブルの濃紺と同系色の青から、ブランドのイメージカラーとなる白に一新された。

ピエール・ガスリーがドライブするアルファタウリのAT01
ピエール・ガスリーがドライブするアルファタウリのAT01

 トロロッソのラストイヤーでパワーユニットを供給するホンダとのコンビ2年目だった2019年シーズン、チームは2008年のベストリザルトに並ぶ最上位タイのコンストラクターズランキング6位を記録した。また2008年はセバスチャン・ベッテルの優勝でシーズン唯一の表彰台を手にしていたが、2019年は2度も表彰台に上がってみた。

 この上げ潮ぶりが、レッドブルをチーム改名に踏み切らせた一因ともなっているはずだ。下位でしか走れないようでは、新ブランドのアピールとはならない。そして、アルファタウリとしての第1号車となる『AT01』には、コンストラクターの独立性を保ちつつ、これまで以上にレッドブル側の技術が移植されている。

 具体的には、レッドブルの前年型で開発され、実績のあるパーツ採用が新車のより広範囲におよんでいるとの明言があった。レッドブル・グループのレーシングアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、この支援強化を「いままでのジュニアチームから、姉妹チームへの変化だ」と称した。

 つまり、若手ドライバーがF1経験を積むために組織され、ときに結果度外視という側面もあったチームから、つねに上位進出をうかがって闘う集団への進化だ。

 具体的なターゲットとしては、前年ランキングで後れをとったマクラーレンとルノーを打倒して、中団勢のトップということになるだろう。表彰台の再現も、意識のなかにはあるはずだ。

アルファタウリの2020年型F1マシン『AT01』。レッドブルRB16とは違い、ワイドなフロントノーズを備える
アルファタウリの2020年型F1マシン『AT01』。レッドブルRB16とは違い、ワイドなフロントノーズを備える
レッドブルの2020年型F1マシン『RB16』。フロントノーズは細身のスタイル
レッドブルの2020年型F1マシン『RB16』。フロントノーズは細身のスタイル

 新車はレッドブルRB16のノーズがナロー化された一方、AT01は従来のワイド型を維持した。サイドポンツーンに膨らみを持たせる手法も含めて、空力的な思想はレッドブルの前年型にも似る。これには、カウル内のメカニカルパーツが同一であるということも作用しているのだろう。

 ただし独自処理がないというわけではなく、レッドブルが非採用のフラップ両端が下がるフロントウイングデザインなどは前年型から継承されている。決してフルコピーではない。

 テスト全体を通じた印象としては、新車はいいロングランペースを持っているようだ。一発の速さについても、テスト後半日程の2日目にこの日が最後の担当となったピエール・ガスリーがフェラーリのセバスチャン・ベッテルに次ぐ2番手タイムをマークした。

 テスト中のタイムを一概に比較するのは難しいが、まず中位グループの好位置に入るといっていいだろう。最終日のダニール・クビアトは速いタイムを出すことはなかったが、ガスリー同様に新車テスト期間中の好印象を口にしている。

 最後にチーム代表のフランツ・トストの言葉だ。「ホンダPU(パワーユニット)はさらに前進した。パフォーマンス面も、信頼性もだ!!」。今年のホンダはこの頼もしき両輪、レッドブルとアルファタウリとともに、最強神話奪回への物語を加速させる。


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