スペインGP主催者は、F1の商業権保有者であるリバティ・メディアには、グランプリを無観客で開催する場合、サーキットが支払わなければならない開催権料について再交渉を行う意志があると考えている。
ほとんどのサーキットは、F1レースを開催するために毎年2000万ドル(約21億5500万円)から5000万ドル(約53億8700万円)の開催権料を支払っており、それはリバティとチームの収入になる。しかしサーキットは、開催権料の一部を調達するのにチケット販売に頼っている。
バルセロナ-カタロニア・サーキットのゼネラルマネージャーを務めるホアン・フォントセレは『The Associated Press』に対し、無観客でレースを開催しなければならない場合、イベント主催者の契約に関しては何らかの形で再交渉が行われる必要があることを、リバティ・メディアは“意識”していると語った。
現在、新型コロナウイルス感染拡大のため、スペインGPを含む序盤9戦が延期あるいは中止となり、リバティ・メディアは、新たなカレンダーを作成しなければならない状況にある。できるだけ早くシーズンを始めるため、関係者は、無観客での開催という形をとる可能性を検討している。
「彼らはこれが例外的な状況であることを意識している」とフォントセレは語った。「我々もまったく同じ考えだ。彼らがテレビ放映権やチームのために一部のレース開催を希望する場合、我々の収益が減ることは理解している。今年はそのようになることを彼らは認識しているのだ。我々としても確かにそのように捉えている」
現在のところ、スペインGP主催者は、観客を入れてレースを開催することはまったく視野に入れていない。サーキットは、ホスピタリティ施設からも収益を得るが、無観客レースの場合は、ホスピテリティ施設も無人となる。また、チケット収入以外に得ていた経済的メリットも減少することは確実であり、そういう意味でも、契約内容の見直しは必要であると、フォントセレは主張する。
「カタロニア州政府がF1に投資をしているのは、我々のチケット売り上げのためだけでなく、イベントが国内およびカタロニア州に及ぼす経済的影響のためだ」とフォントセレは語った。
「国内の経済的メリットは大幅に減少することになるだろう。タクシーやホテルが収益を上げられないことになる。そうなると二者間の契約は完全に変わることになる」
スペインGPは地元に1億6000万ユーロ(約186億円)以上の経済効果をもたらす。昨年のレースウイークの観客数は16万人を超えていた。