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F1 ニュース

投稿日: 2020.04.28 18:34
更新日: 2020.04.29 10:33

帰国後は戸惑いも。緊張感が走るファエンツァの暮らしを紹介/アルファタウリ日本人スタッフの現地報告(2)

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F1 | 帰国後は戸惑いも。緊張感が走るファエンツァの暮らしを紹介/アルファタウリ日本人スタッフの現地報告(2)

 何とか無事にファエンツァに帰り着いた、スクーデリア・アルファタウリのマーケティングマネージャーを務める本村由希さんとスタッフたち。とはいえイタリアは全土ロックダウンが続き、アルファタウリのファクトリーも他チーム同様シャットダウン中で従業員は立ち入ることはできない。

 前回のインタビューでは、開幕戦オーストラリアGPへ出発した前後の状況や戻ってきた時の街の様子などを聞いたが、その後ファエンツァに戻った本村さんは、どんな暮らしを送っているのだろうか。

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──その後の生活について、詳しく教えてください。どんな日常を送っているのでしょう。

本村由希さん(以下、本村さん):イタリア全土が封鎖されてから、レースに帯同していない従業員の大半は在宅ワークを指示されていました。私達メルボルンからの帰国組は、チームから14日間の自主隔離を指示されました。その間に地域の保健所のようなところから帰国確認のための電話が来て、名前や会社名、メールアドレスの確認をされました。

 私は万が一に備え、メルボルンに出発する前に保存できるものを買っておいたので食料などもあまり問題はありませんでした。またラッキーなことに同僚のひとりが同じマンションに住んでいるので、親切にも足りない食料や飲み物を何度も買って来てくれて、ドアの前に届けてくれました。本当にありがたいです。

 まだまだゆるい状況だったメルボルンから一転、ゴーストタウンと化したファエンツァに戻ってきて、街にも緊張感が走っているのを感じました。最初の1週間は、今までいた場所とあまりにも違うので戸惑っていました。午前中に近所の子供の声が聞こえたりすると安心したり、同じマンションに住んでる同僚がギターと歌が上手いので、歌っているのが窓を伝って聞こえてくるのがうれしかったです。

──買い物などはどうしていますか?

本村さん:自主隔離が終わっても国家命令でロックダウンが下されているので、スーパーや薬局への買い物以外の不要不急の外出は禁止です。犬の散歩や個人が家の周囲を散歩することなどは許されているものの、いずれの場合も政府が発行している証明書をダウンロードし、住んでいる場所、行先、外出の理由を記入し、街を巡回中の警官が証明書の提示を求める場合は即座に従わなければなりません。

 4月14日から一部のお店で営業許可が出たようですが、まだ州により法令にばらつきがあります。自分が感染しないためだけでなく、万が一自分が菌を持っていて、自分が人に感染させないためにも、スーパーには1週間に1回程度しか行っていません。

 スーパーは入店できる人数に制限があるので、時間帯によっては20分から30分ほど、人との間隔を保ちつつ列に並びます。スーパーの中でも、お客さん同士がアイコンタクトを取りながらソーシャルディスタンスを保って買い物しています。お客さんもマスク、手袋を装着している人がほとんどです。

──イタリアでもロックダウン直後に買い占めなどがあったようですね。

本村さん:私たちはロックダウンが発令されてから1週間後くらいにイタリアに戻ったため、スーパーでの買い占め騒動などには遭遇しませんでした。今はハンドソープやトイレットペーパーも十分スーパーにありますし、そもそもロックダウン発令時から物流も完全には止まっていませんでしたので、イタリア全体で食料が尽きたということはなかったようです。

──外国人として暮らす上で、大変なことはありますか?

本村さん:アジア人差別などで嫌な思いをしたということは全くありません。それどころかいつも行くスーパーのお兄さんが奥の方からわざわざ出てきてくれて、少し遠くから「元気そうでよかったー!」と声をかけてくれました。これ、ついに私にもモテキが来たのでしょうかね(笑)。そのくらいのこと考えていないと、やっていられないですね。というか、ずっと人に会ってなかったのですれ違う人と「Ciao!」と挨拶するだけでも何か新鮮で感動しました。


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