事件はサーキットの外でも起きている。もちろん、サーキットの中で起きているのは言うまでもない。水面下で蠢くチーム、ドライバー、グランプリにまつわる未確認情報を『F1速報』から依頼を受けた調査員が独自に調査。送られてきた報告書を公開する。
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フェラーリとメルセデスは、すでにWEC世界耐久選手権の新たなトップカテゴリーとなるハイパーカークラスへの参戦計画を進めている。これによって、予算上限が大きく抑えられる2021年のバジェットキャップ制度導入以降も、現在F1チームで働く全スタッフの雇用を保証できるからだという。
メルセデスにとって、これはイギリスにいる1000名を超えるスタッフの雇用を守るというチームの原則に関わる問題だ。一方でフェラーリとしては、費用負担が大きく膨れ上がる事態を避けたいという思惑もある。イタリアの労働法に従えば、従業員を解雇した場合の補償金がイギリスのそれと比べて4倍になるという事情があるためだ。ふたつのチームがともにWECに参戦すれば、トヨタは2022年シーズン開始直後から、かなり厳しい戦いを強いられることになるだろう。
■政治的な駆け引きが続くF1
F1のCEOを務めるチェイス・キャリーは、すでにヨーロッパ各国の主催者に対して、無観客でもレースを実施すれば通常の開催料を支払わなくてもよいとする通知を出しているが、喉から手が出るほどほしいテレビ放映権料の獲得に必要な年間15レースの確保は相当困難な情勢だ。
■ヨーロッパ大陸の国境封鎖は9月まで延長か
2020年シーズンのF1をヨーロッパで始めるかどうかは、シェンゲン協定に加盟する26カ国が国境の封鎖措置を解除するか、今のまま9月初旬まで封鎖を続けるかによって変わってくる。