新型コロナウイルス感染拡大によりF1とチームが経済面で大きな打撃を受けるなか、小規模チームを救う手段として、カスタマーカー供給を許可することを検討すべきであるという意見が、ビッグチームから出てきている。しかし、カスタマーチームとなる側のチームはこれを歓迎していない。
チームの経済的負担を減らすため、F1は2021年から導入する予定だった大規模な技術規則変更を1年遅らせることを決め、コスト上限額についても引き下げる意向を示している。
レッドブル・レーシングのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、さらなる対策が必要であるとして、ビッグチームから小規模チームへのカスタマーカーの供給を認めることを提案しており、それにより小規模チームは研究開発費を負担する必要がなくなり、コストを大幅に減らすことができると主張している。
フェラーリ代表マッティア・ビノットも、危機に陥るチームがあるのなら、カスタマーカー制度の導入を前向きに検討するとコメントした。
しかしこの説に反対の声も上がっている。マクラーレン・レーシングのCEOザク・ブラウンは、F1チームは自身でマシンを作るべきであり、カスタマーカーというコンセプトには賛成ではないとコメントした。小規模チームを生き残らせるための策として1年か2年に限定して用いてもよいが、提供されるカスタマーカーは1年落ちのマシンでありビッグチームにとってはコストがかからないため、無料で提供すべきであるとも主張している。
ハースのチーム代表ギュンター・シュタイナーは、フルカスタマーカー制度導入というアイデアには完全に反対の立場を表明している。ビッグチームはカスタマーカーのパフォーマンスを操作することが可能であり、カスタマーチームは今よりも不利な立場になると、彼は考えている。
「我々がカスタマーチームになれば、ビッグチームは我々のパフォーマンスを操作することが可能になるだろう」とシュタイナーはZiggo Sportに対して語った。
「我々は前年型のマシンを提供されることになり、彼らの方が常に先を行くことになる」