レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

F1 ニュース

投稿日: 2020.06.01 18:44
更新日: 2020.06.01 18:45

サインツJr.のフェラーリ加入で、過去のリベンジに燃える母国のファンたち/スペイン人ライターのF1便り

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


F1 | サインツJr.のフェラーリ加入で、過去のリベンジに燃える母国のファンたち/スペイン人ライターのF1便り

 2021年からカルロス・サインツJr.がフェラーリに加入することが決まり、歓喜に沸くスペイン人ファンたち。誰もが認める速さをもつサインツJr.だが、果たしてシャルル・ルクレールと対等の立場で走ることができるのだろうか。スペイン在住のフリーライター、アレックス・ガルシアが2021年のフェラーリについて語る。
—————————————
 スペインのスポーツ界のアイドルというと、いくつか際立つ名前が出てくる。パウ・ガソル(バスケットボール)、ラファ・ナダル(テニス)、マルク・マルケス(MotoGP)といった人々がとても有名だ。だがスペインの誰もが知っているレーシングドライバーということになると、フェルナンド・アロンソとカルロス・サインツ(シニア、ラリードライバー)が最も有名だろう。

 そういうわけで、カルロス・サインツJr.(F1ドライバー)が父親のようにラリードライバーになる代わりに、アロンソに触発されてサーキットドライバーになり、F1における彼のスペイン人後継者となっていることは、当然ながらもっともなことだ。やはりモータースポーツ界の5月のビッグニュースは、サインツJr.が2021年にフェラーリのドライバーとなり、ルクレールのチームメイトになるというものだろう。

 サインツJr.のF1を巡る経歴は、意外にもアロンソとかなり似ている。トロロッソから始まり、ルノーを経てマクラーレンに行き、最終的にフェラーリに行き着いたのだ。もちろん彼らの成功の度合いは違っている。アロンソはフェラーリのドライバーになった頃には世界タイトルを2度獲得していたが、サインツJr.はあまりない状況のなかで表彰台に1度立っただけだ。しかしそれでも面白い偶然がある。もちろんサインツJr.はフェラーリに入ることで、念願の世界チャンピオンのタイトルを獲得したいと望んでいるだろう。

 実際、サインツJr.とアロンソをともにフェラーリに結びつけるストーリーは非常に面白く、この状況で新たな意味を見いだせる。アロンソが2014年にフェラーリを去り、その空席にはセバスチャン・ベッテルが収まった。ベッテルはレッドブルから移ったばかりで、ミハエル・シューマッハーが過去にやり遂げたように、フェラーリで世界タイトルを取る夢を達成することを望んでいた。スペインの多くのファンにとって、これは非常に屈辱的なことだった。つまるところベッテルは2010年と2012年にタイトルを取ってアロンソを否定したし、アロンソができなかったフェラーリでのタイトル獲得を、ドイツ人のベッテルがやろうとしていることに、多くのスペイン人たちは気に入らなかったのだ。

 結果としてスペインの多くのファン(そしてメディアまでもが!)がベッテルを嫌い、彼がフェラーリで世界チャンピオンになれないように願った。もちろん2020年シーズンがまだあるので、彼がタイトルを獲得する可能性はある。そうしたわけで、サインツJr.がフェラーリで4度のF1世界チャンピオンに取って代わるというニュースが出た時、多くのスペイン人ファンは大喜びした。同国人が競争力のあるマシンに乗ることが素晴らしいだけでなく、ある意味でこれはベッテルに対する“復讐”なのだ。スペイン人はスポーツに多大な情熱を持っているのだ!だが少し持ち過ぎかもしれない.……。


関連のニュース