元F1最高権威者のバーニー・エクレストンが人種差別問題に関して行った発言が波紋を呼び、F1はこれに反対する立場であることを強く表明した。
5月に黒人男性が白人警官に暴行されて死亡した事件を発端に、世界中で人種差別への抗議が続いている。
エクレストンは、インタビューにおいて、人種差別について「大きな懸念を持っている」と認めた一方で、この問題に関するF1の取り組みについては重要視せず、F1には人種差別に対処する責任はないと主張した。
エクレストンはまた、6度のF1世界チャンピオンであるルイス・ハミルトンが差別によってキャリアのなかで影響を受けたとの主張に疑問を呈した。
「以前は(人種差別について)誰も気にしなかったと思う」と89歳のエクレストンは26日、『CNN』のアマンダ・デイビーズに対して語った。
「彼らはレースで勝ったり、スポンサーを探したりすることに忙しかった。他のことにはほとんど関心がなかったのだ」
「F1の関係者、チームや主催者のような人々がこのことに懸念を持っているのなら私は驚いてしまう。このことを考え始めなければならないのは一般大衆だと思う」
エクレストンは、人種差別的行動に反対するハミルトンの積極的な活動を称賛したが、最終的にハミルトンの活動は、「F1にとって良いことにも悪いことにもならない」と語った。
「彼が行っている黒人のための運動は素晴らしい。とてもいい仕事をしている」
「人々は少し考えるべきだ。誰もが白人と同じわけではない。そして黒人も白人について同様に考えるべきだろう」
「多くの場合、黒人は白人よりも人種差別的だ(注:元の発言のまま)」とエクレストンは結論づけ、デイビーズを驚かせた。
金曜日の夜、F1はエクレストンの好ましくないコメントについて批判する声明を発表した。F1は先週、人種差別に反対する活動等の一環として『#WeRaceAsOne』キャンペーンを立ち上げたばかりだった。
「人種差別と不平等について取り組むにあたって団結が必要であるときに、我々はバーニー・エクレストン氏のコメントに同意することはないし、F1としても社会としても受け入れることはない」と声明には記されている。
「エクレストン氏は2017年に我々の組織を離れて以来、F1で何の役割も果たしておらず、名誉会長という名誉職からは、2020年1月で解かれている」