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F1 ニュース

投稿日: 2020.07.07 17:04

テレビ映えしなかったF1ヨーロッパGP。現地で感じたふたつの驚き【サム・コリンズの忘れられない1戦】

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F1 | テレビ映えしなかったF1ヨーロッパGP。現地で感じたふたつの驚き【サム・コリンズの忘れられない1戦】

 スーパーGTを戦うJAF-GT見たさに来日してしまうほどのレース好きで数多くのレースを取材しているイギリス人モータースポーツジャーナリストのサム・コリンズが、その取材活動のなかで記憶に残ったレースを当時の思い出とともに振り返ります。

 今回は2012年にバレンシア市街地コースで開催されたF1ヨーロッパGP。テレビ中継を見る限り、バレンシア市街地コースはまったく魅力的に感じられなかったというコリンズですが……。

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 テレビ中継を見る限り、バレンシアの市街地コースはひどい場所に思えた。私は多くの人から、F1はなぜあんなところでレースを開催するのかと問われたが、彼らを納得させられる回答をすることはできなかった。映像を見る限り、特徴のないコンクリートの壁に囲まれた波止場を巡る無機質なコースに思えて仕方がなかった。

 ここは取材に行ってもまったく興奮することのない場所だと思っていた。もっとストレートに表現すれば単純に行きたくなかったので、ヨーロッパGPが初開催された2008年から最初の数年間は取材に行くことはなかった。

 2008年に初めてF1カレンダーに登場したヨーロッパGPは、8月24日決勝というスケジュールが割り当てられた。8月後半という日程は、私も含めヨーロッパのほとんどが夏休みを取っているタイミングだ。これも足が遠のく要因だった。

 その数年後ヨーロッパGPの日程は6月の終わり、イギリスGP前というタイミングに変更されたため、さらにヨーロッパGPに行きたくない理由が増えた。数週間待てば、自宅からクルマで45分しか離れていないシルバーストンでF1取材ができるというのに、わざわざバレンシアまで飛ぶ必要性はない。

 しかし、ジャーナリスト仲間の多くは私がバレンシアに抱いている印象が間違っていると指摘してきた。彼らはバレンシアが最高の場所であると言い、何年もの間、私に現地へ行くよう勧めてきた。

 私はジャーナリスト仲間による“勧誘”を受けても興味を一切持たなかったのだが2012年シーズン、私はヨーロッパGPに行かなければならない状況に追い込まれた。当時担当していたある記事のためにインタビューをしなければならず、その締切の関係からイギリスGP前にインタビューを実施する必要があったのだ。

 こうしてヨーロッパGPに向かうことになった私は、イギリスを発つ前にバレンシアの地図を見た。すると、街のどこからでもコースに非常に簡単にアクセスできそうなことに気がついた。パドックのほぼ入り口近くに路面電車の駅があったのだ。

 バレンシアに到着した私は空港から直接ホテルに向かった。ホテルはコースからかなり距離があったが、素晴らしいホテルだったし、毎朝路面電車に乗ることは気にならなかった。

 そのホテルに向かう道中、私はふたつのことに気がついた。ひとつは街全体が閑散としているということ。もうひとつはヨーロッパGPがスペインの有名なお祭りである“サン・フアンの日(聖ヨハネの前夜祭)”の最中に開催されているということだ。

 翌朝、私はまず取材用のパスを受け取るためにあるオフィスへ向かった。このオフィスはバレンシア市街地コースから何マイルも離れていた上、街を走る路面電車のどの路線からも離れた場所にあったため、長いこと歩かざるを得なかった。

■テレビの印象と異なるバレンシア


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