4カ月遅れで再開幕することとなったF1。その舞台となったオーストリアのレッドブルリンクは、いつもとは違う雰囲気でグランプリ開幕前日のメディアデーが行われた。
通常であれば、4〜6名のドライバーによって催されるFIA主催の『木曜会見』は、今回は全ドライバーが出席して行われた。これはごく一部のメディア以外、現場での取材が許可されないため、木曜会見以外の各チームが個別に行う囲み会見も、FIAが代行してオンラインで世界中のメディアに配信するためだ。
ただし、今回F1を再開させるにあたって、FIAは厳しいルールをサーキット内に適用しており、異なるチーム同士が接触を極力避けるため、ドライバーはチーム単位で登場し、会見の間隔も10分間空けて行われた。
ほとんどのドライバーが「4カ月間、何をしていたか」という質問を受けたが、その中で息子であるロビンくんとカートしていたことを振り返ったのが、キミ・ライコネン(アルファロメオ)だった。
「(ロビンがどんなドライビングをしていたのかについては)ほかの子供と比較したわけじゃないからわからないけど、ロビンは楽しんでいたと思う。日によっては、とても多くの周回を走行していたこともあったからね。でも、まだ子ども。いまはカートに夢中でも、突然変わるかもしれない。まあ、自分で楽しんでいることが大切。もう、レンタルカートだと、僕だってついていけないぐらいだよ!」
ちなみにライコネンは、5歳のロビンくんをF1ドライバーにしたいという考えはないようで、ドライビングテクニックも走行ラインもいっさい教えていないという。
真紅のマスクをつけて登場してきたのは、フェラーリのふたり。そして、チームメートよりも多くの質問を受けたのが、セバスチャン・ベッテルだった。フェラーリは2020年末までとなっているベッテルとの契約を更新しないと5月に発表。ベッテルが公で会見に臨むのは、その発表以来、今回が初めてだったからだ。「チームオーダーが出されたら、従うか」と質問されたベッテルはこう答えた。
「僕はいつだってチームとしてレースを戦ってきた。それはフェラーリでも変わりない。でも、いまは答えるのが難しいね。どんな年になるのかわからないし、僕たちの競争力も不明だから」
「でも、そういう(チームオーダーが出る)状況が来て、自分が完全に理解できるものであれば、ドライバー同士で助け合うのは普通のこと。それを受け入れるかどうかは、チームとの契約のことはまったく関係ない」
「重要なことは納得できるか。というのも、僕たちはチームとして戦っているけど、同時に自分のためにレースをしているという側面もある。だから、いつでもシャルルに『はい、どうぞ』と譲るつもりはない。僕らはいままでもバトルを楽しんできたから、これからもそうなるんじゃないかな」